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2005年8月25日 (木)

金原亭伯楽「小説・落語協団騒動記」(本阿弥書店)

 あまり評判は芳しくないが、一つの事象に対して色々な立場からの意見を聞くのは面白いので買ってみた。

 一九七八年の落語協会分裂騒動については様々な人が様々な立場で書いているので面白い。

三遊亭圓丈「ご乱心」

川柳川柳「天下御免の極落語―平成の爆笑王による“ガーコン”的自叙伝」

 の二作は読んでいるが、好生(一柳)の「噺の咄の話のはなし」は未読。

 圓丈、川柳が実名で顛末を記しているのに、伯楽が今更仮名にして「小説」とするのには合点がいかない。圓丈や川柳のように渦の真ん中に居たわけではなく、馬生と志ん朝の間に挟まってオロオロしただけの立場なんだから、もっと客観的な立場から思い切って書けばいいのに。破門になった川柳、好生、破門にはならなかったけど師匠との絆が切れた圓丈に比べれば、結局師馬生、兄弟子志ん朝とも丸く納まった伯楽は被害者ではない。圓丈が圓楽を批判する時は煮え湯を飲まされた者の実感が籠もっているが、伯楽が談志を批判する時には「この人やな人なんです」という言いつけん坊の了見に感じてしまう。更に全て仮名で書いているところが、何か文句を言われた時に「あれは小説ですから」と逃げる布石に感じられて、とても不愉快な気分になる。

 伯楽はスター性は無いが、力の抜けた「佳い」噺家だと、かなり好意的に感じていたのに、この本を読んだおかげで印象が悪くなってしまった。中途半端な了見で告発暴露系の振る舞いに出ると、お粗末な結果になると云うことだろう。

 明日は川柳(小説中ではさん公)の独演会。去年は仕事の都合で行けなかったから、期待は高まります!。

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