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2005年11月28日 (月)

清水義範「幸福の軛」(幻冬社文庫)

 清水義範の教育論を読んでいると、こういう人が先生だったら良かったのにと思う。ちょっと前に出た「わが子に教える作文教室」(講談社現代新書)と続けて読んだので、一層その感が強くなる。教師になって当たり前のコースを歩んできたのに、敢えて教師にならなかった清水氏の教育への思いは、冷静な分説得力がある。
 私は学生時代教員志望だったが、叶わなかった。けれど、今の正直な気持ちとして「教師になってなくてよかった」と思っている。社会の価値観や子供の多様化から、学校という閉鎖的な組織は完全に取り残されている。そして、世間知らずな組織故に、権力が本気になった時、組織的な応戦も出来ず総崩れになっている。何てことはない、全共闘の二の舞を二十一世紀になってやっているのだ。

 それは別にして、純粋に小説として読んでみた。小説としては抜群に面白い。早くその先が読みたくて、電車から降りてもキリのいい所まで駅のホームで立ち読みしたくらいだ(私にとって珍しいことではないが)。しかし、テーマも物語も重すぎて、読んだ後にもの凄く暗い気持ちになる。
 朝、目が覚めて最初に、昨晩読み終わった小説のことを考えたのは久しぶりだ。更に言えば、純粋にミステリーとして評価する場合には、ちょいと犯人の動機に無理があり、「オイオイ、そんな理由で人殺すか?」という気がする。やっとかめ探偵団シリーズならば、多少無理な動機も気にならないが、これだけシリアスだと、ちょっと苦しい気がする。
 読み応えは十分だったけど、他人には薦めない作品というところか。

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