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2005年12月 7日 (水)

NHK新落語名人選「川柳川柳」(ユニバーサルインターナショナル)

 超ロングセラーNHK落語名人選の新シリーズ。待ちに待った、企画ものではなくメジャーレーベルから出た川柳師のCD。演目は「テレビグラフィティ」と「ジャズ息子」の二本。

「テレビグラフィティ」
 一九九五年放送。前半は「映画藪睨み」、後半は「テレビ変遷史」として独立して高座に掛かることが多い。私は寄席でしか聞いたことがなかったので、このNHK用自主規制版はかえって興味深い。鞍馬天狗の話で「丸顔に覆面は似合わない。小さん師匠が覆面したら爆笑の渦」、「言うことは人道的でローマ法王みたい、やってることは川俣軍司」、「(鞍馬天狗の)馬を先にやっつけて桜鍋にしちゃって」とか、妹が殺された次のシーンで突然歌い出す高田浩吉を「精神分裂だね」とか、昔は金持ちの象徴だったテレビも今なら「ウチはテレビジョン買って家中で毎日観てるぞ」「お前ン家、生活保護か」などの笑いを取れるくすぐりが規制(編集?)されている。

「ジャズ息子」
 一九九五年放送。私が最初に手に入れた川柳師の映像で、今でもVHSのカセットを大事にしている。こちらもNHK用に気を遣ってはいるが、時間たっぷりで丁寧に演じており、テンションも高い。あらためて聴き直してみても、ジャズ息子の代表盤として差し支えないだろう。先日の独演会などはテンションの高さと客席の沸き具合はよかったが、つっかえる部分も多く、繰り返し聞くには厳しいかもしれない。

 不満は二点。一つは出囃子が完全にカットされている点。どうでもいいようだが、やはり雰囲気が出ない。もう一つは、放送枠の三〇分に納めるために、部分的にカットされたままになっていること。放送では仕方ないが、CD化する場合は出囃子付き、無編集に戻して欲しいと思う。もしかしたらNHKには編集前のテープは残っていないのだろうか。
 あと、演目的には「ガーコン」と「ジャズ息子」が良かったと思うのだが、プライヴェート盤(池袋秘密倶楽部)でほぼベストの「大ガーコン」が出ているので仕方ないか。ワザオギあたりが他の演目をCD化してくれないものだろうか。
 と、不満もあるものの、川柳師の代表盤と呼べるCDが出たわけでメデタい。

 このシリーズでは、川柳「ジャズ息子」の他にも、寄席やラジオでお馴染みの演目が多数発売になった。米丸「相合傘」、圓歌「浪曲社長」、圓蔵「猫と金魚」、扇橋「茄子娘」、権太楼「代書屋」、柳昇「雑俳」など、私の好きな演目がずらっと並んだのは壮観。

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2005年12月 6日 (火)

清水義範「緑の侵略者」(ソノラマ文庫)

 ソノラマ文庫の清水義範作品の中ではもっとも入手困難だった一冊。五年近く古本屋を漁り歩いたが、結局ヤフオクで入手。
 宇宙からの侵略者が植物であるというのは面白い発想だが、もう少し物語を膨らますことも可能だったのではないかと思う。自衛隊同士が銃撃戦になる前に、もっと侵略者と人間の駆け引きが欲しい気がする。さらに、残された侵略者の苗を殲滅する方法も、考えられてはいるがやや無理がある気がする。せっかく電気ショックで侵略者の意識が残るという手を思いついたのだから、そこを膨らませればもっと面白い子孫殲滅の手段が見出せるのではないだろうか。
 流石に若書きの印象は受けるが、構成は巧妙、語り口も印象的で、充分に魅力的。清水ファンにとっては、初期のレアものという付加価値を抜きにしても、読んでおきたい作品。苦労して手に入れた甲斐があった。

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2005年12月 3日 (土)

清水義範「エスパー少年時空作戦」(ソノラマ文庫)

 (ネタバレ注意!)

 前編「エスパー少年抹殺作戦」の続編。修と香織がその後どうなったか?。タイムマシンとタイムパラドックスは、SFを書くような作家なら必ず取り上げるテーマ。清水氏もその後パスティーシュ短編で佳作を書いているが、本作もタイムパラドックスが三重になっているところが手が込んでいて面白い。
 更に、この後編を面白くしているのは鈴木純子ことナンバー6の存在。十四歳で死んで、二十四歳の肉体を得た主人公にとって、突然現れた九歳年上かつ一歳年下の美しい女性の存在が実に魅力的で、ガールフレンドで唯一修の秘密を知っている十四歳の香織をやきもきさせるには手応え充分な相手である。
 十四歳の心理って、伊集院光が「中二病」って表現を使うけど、「何だかよくわからないけど尋常でない」状態だった気がする。清水義範が主人公を十四歳に設定したのは偶然かも知れないけれど、実は思春期男子の真ん真ん中をズバッと突いていると思う。
 私が十四歳の修だったら、多分同い年の香織をほったらかして、年上の純子に夢中になり、その結果地球はドミネーターのものになってしまうんだろうな。

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