喬太郎 白鳥 二人会
二〇〇六年二月二十三日 ヤマハホール
( 前 説 ) 喬太郎&白鳥
「 青春残酷物語 」三遊亭白鳥
( 似顔絵漫談 ) 春乃ピーチク
「すみれ荘二〇一号」柳家喬太郎
何の打合せもしていなかったであろう前説が、かみ合ったりかみ合わなかったりで妙に面白い。判明したことは今日のテーマが「青春」で、ゲストが春乃ピーチクということ。
白鳥は寄席での遭遇率が高い。なぜだろうと冷静に考えると、川柳師がトリの時いつも出ていたからである。つくしが入るまで弟子がいなかったから、圓丈門下の白鳥(当時はにいがた)がよくでていたのだろう。そのころは「テンション高くて汗かいてる二つ目」くらいにしか思っていなかったが、ここ数年で随分面白くなったと思う。この噺もよく出来ていて飽きさせない。貧乏三人組のキャラクターが際立っており、噺の展開も早い。
春乃ピーチクは生で初めて見るが、今年八十歳とのこと。まさに漫才黄金期の生き残りだ。出たがりの妙な客を上手くあしらって自分のペースで運ぶあたりは熟練の技。大雑把に特徴をつかむ似顔絵も見事。後半ちょいと遊びすぎで、もう少し短く切り上げた方が良かったような・・・。
CDにもなっている「すみれ荘」は初めて聞く。なぜか違う噺をずっと「すみれ荘」だと勘違いしていたようで、ということは池袋演芸場で聞いたあの噺は何という演題だったのか?。さておき、黒紋付きで登場した喬太郎は「文七元結」をやるつもりだったらしい。独演会で二席ならさておき、白鳥と一席づつの場合、誰も古典を求めてはいないだろう。正しい選択だ。故郷の市議会議員が、喬太郎落語ではすっかりお馴染みのキャラクター(キョンキョンキャラ?)で大いに笑う。この様なキャラクターを確立しておくと良いくすぐりになるのだが、あまりやりすぎると死んだ枝雀の「スビバセンネ」みたいにそればっかり印象に残る。話芸は難しい。独演会と違って一席だけだったので、演者も聴衆も集中力が持続して会心の高座だったと思う。
結果的には喬太郎と白鳥の聞き比べになった。新作落語の台本としては圧倒的に「青春残酷物語」が面白いと思う。この手の噺は五十になったらやれないだろうから、後に続く若手のレパートリーとして継承していくべきだろう。高座全体の印象としては互角。どちらも表現力構成力とも抜群な上に、いい味を出していた。
終演後、出藍の弟子(向こうが師匠と呼ぶので)Kちゃんと有楽町の焼鳥屋で飲む。喬太郎派の彼女は勿論大満足のご様子。落語談義で盛り上がる。
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