「男はつらいよ」全四十八作
一九六九~一九九五年 松竹(松竹ホームビデオ)
渥美清が死んで以来、「いつか第一作から順番に観てやろう」と目論んでいたのだが、地元のレンタルビデオ屋がリニューアルしたのをきっかけに去年の夏から取り掛かり、半年かかって観終った。
もの凄く乱暴に総括すれば、私はこのシリーズに共通する人情が好きだ。寅次郎(後には光男)に呆れながらも感情移入して「他人事じゃない」気分になっている自分がいる。
もちろん長いシリーズなので出来不出来の差はあるが、比較して不出来な作品はあっても、絶対評価でつまらない作品はないと思う。個人的良かったと思うのは次の九作品。
第一作 「男はつらいよ」(光本幸子)
第五作 「望郷編」(長山藍子)
第八作 「寅次郎恋歌」(池内淳子)
第九作 「柴又慕情」(吉永小百合)
第十一作 「寅次郎忘れな草」(浅丘ルリ子)
第十五作 「寅次郎相合傘」(浅丘ルリ子)
第二十五作「寅次郎ハイビスカスの花」(浅丘ルリ子)
第二十九作「寅次郎あじさいの恋」(いしだあゆみ)
第三十二作「口笛を吹く寅次郎」(竹下景子)
やはり歴代競演女優の中では浅丘ルリ子の「リリー」が抜きん出た存在感があると思う。四十三作以降はやつれた渥美清の姿が痛々しくて、観るのが辛かった。
せっかく全作観たので、葛飾柴又まで行ってきた。映画で観るより門前通りも題経寺境内も狭く、高木屋菓子舗は広かった。「寅さん記念館」で大船のスタジオから移設した団子屋のセットを見学し、矢切の渡しを眺める。映画でお馴染みの風景が健在なのが嬉しい。門前の川千屋で食事。鯉の洗いも鰻の蒲焼きも、行きつけの店の倍以上の値段だが味は・・・。まあ観光地だから仕方あるまい。
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