« イルドバカンス号 | トップページ | 魚食い »

2006年8月11日 (金)

さねよしいさ子「カナリア!」(はちみつレーベル)

 二月に発売された「チェリー!」に続くライヴ録音集第二弾。曲目は、

わたしの名前はあなたの名前
マンナカ山
プランテロンの結婚
そらや愛やりんごや風
手足
星めぐりの歌
中央高架下公園

の七曲。今年の二月と四月に行われた三回のライヴからの収録。
 「わたしの名前は~」は意外にもCD初収録。ライヴでは時々歌う曲だし、自主制作カセット「りんご水晶」に収録されているので耳馴染みがある。「次の曲はー、新曲です」と歌い出すりんご水晶ヴァージョンから丸十年経っているが、いい意味で何も変わっていない。
 「マンナカ山」はオリジナルが栗コーダーカルテットの伴奏だったが、ギターとシンセだけのこの編曲も秀逸。
 そしてこのCDの白眉は「プランテロンの結婚」。ライヴでは何度も聞いているこの幸せな歌がCDで聞ける嬉しさは、町内を一回り駆け出したいくらいだ。ギターとドラムスとピアニカという伴奏も軽くて良いが、中でも良原リエのピアニカが何ともいい味を出している。合いの手で主旋律を奏でる部分などは、老練な辻音楽士が一杯機嫌で奏でるような、言うに言われぬ心地よさだ。この演奏は生で聴きたかった!。今まで何と言っているか判らなかった歌詞が判ったのも収穫。「オリーブの森で君がそっと開く」「君が踏んでるんだよ」だとは気づかなかった。
 アコーディオンだけの伴奏で歌う「そらや愛や~」、「手足」、「星めぐりの歌」いずれも落ち着いた歌唱で、ライヴっぽい踏み外しが少ないのも大変好印象。沢山あるライヴ音源の中から繰り返し聴くに堪えるものを集めた選曲のセンスが光る。
 最後の「中央高架下公園」は一時無闇にテンションの高い歌い方をするようになり、この曲が大好きだった私は悲しい気持ちになった。今回はかなり原点に戻った歌い方で良いのだが、最後をフェードアウトしてしまうのはどうなのか?。ライヴ録音でフェードアウトって、ちょっと考えられない気がするのだが・・・。

 「わたしの名前はあなたの名前」で始まり「中央高架下公園」で終わるとは、十年前の「りんご水晶」を意識した選曲なのだろうか?。
 このCDのおかげで当分の間私は少し幸せな気分でいられそうな気がする。

|

« イルドバカンス号 | トップページ | 魚食い »