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2006年8月17日 (木)

魚食い

 勤務先が変わって渋谷・恵比寿地区の飲み屋を開拓中なのだが、ちょっと敷居が高くて入れなかった恵比寿の「さいき」に、土砂降りの雨に紛れて入ってみた。
 「生憎今日は河岸がダメで生魚が何もないんですよ」と御主人に迎えられる。創業半世紀以上、多くの文人墨客に愛された店も、荒天のせいか客は数名しかいない。
 初めての店で最初の注文をするのは緊張の瞬間だ。「ビール」と注文する。生ビールがあるのがわかっていれば「生」だが、取り敢えず曖昧に。「生ビールですか?」と聞き返されて「ハイ」と笑う。ここは生ビールのある店なんだな。
 ここのところ油っぽい食事が多かったので、今日はサッパリ魚で飲みたかったのだが、刺身が無いなら仕方ない。関サバの開きを焼いてもらう。サッパリどころか充分に脂が乗ったサバを夢中でつついていると、御主人から「お客さんうまいね」と声を掛けられる。何だか判らず顔を上げると、御主人が私の顔とサバの乗った皿を交互に見る。「魚の食べ方が上手だね」という意味らしい。カマの肉をほじくったり、骨の間の肉を前歯でしごき取ったり無意識で格闘していたようだ。友達から言われたことはあるが、飲み屋の主人に言われたのは初めてで、ものすごく嬉しくなる。「魚好きなんで」と照れて応える。
 常連客ばかりらしいのだが、(文字通りの)降りの客にもじんわり暖かい店の雰囲気は、流石は老舗だと感心させられる。ちょいと値段が高めで、ちょくちょく通うわけにはいかないが、時々飲みに行こうと思う。

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