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2007年11月20日 (火)

「ウンタマギルー」(一九八九 パルコ)

 ポニーキャニオンVHS

 レンタル落ちのVHSを数年前にヤフオクで購入。画像音声とも状態悪し。中古のレーザーディスクも持っているが、機材がなく再生不能。この再生装置がないのにレーザーディスクを購入したという一点で、私のこの映画への思い入れが判ると思う。
 舞台は日本復帰か独立かに揺れる沖縄。日本の映画なのだが全編に字幕が付く。何故なら全編が沖縄方言で進んでいくからである。中心になるキャストは内地から、脇を固める部分は沖縄から集めている。メインの小林薫と戸川純は好演だが、やはり自分の言葉でないハンディは感じられる。
 全編に漂う不思議さと長閑さが何とも言えないが、展開は結構めまぐるしく、途中で全く飽きることがない。
 改めて見直すと、冒頭と最後のシーンが印象深い。お伽話のように循環してまた始めに戻るのかと思わせておいて、話を突然終結させる親方の行動が、日本復帰が決まった沖縄の姿と重なり合う。
 近頃は「泣け」「感動しろ」と制作者の声が聞こえてくる映画ばかりだ。この映画には若干ハラハラさせられる所はあるが、泣ける場面も大笑いする場面もない。なのに観終わった時に、泣け泣け映画(造語)よりずっと充実感がある。こんな映画を生んだ八〇年代の文化というのは、多様性があって素敵だったと思う。
 最初は戸川純が出ているから観ようと思った映画だが、いま公平な目で見ると戸川純がこの映画の足を若干引っ張り気味にも感じられる。沖縄の女優を抜擢すれば良かった気もするが、そうなると音楽の上野耕路が不参加となり、音楽的には魅力が減るのか?。今さらいっても始まらないが、戸川純ファンとしては心が揺れる。

 スクリーンで観ることが叶わなかったので、せめてDVD化してもらえないものだろうか。

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