川柳川柳 喜寿の会
二〇〇八年三月二十三日(日) なかの芸能小劇場
「 演題不明 」川 柳 つくし
「 新聞記事 」鈴々舎 わか馬
「昭和音曲噺」川 柳 川 柳
(中入り)
「日米名曲撰」絃 楽 ト リ オ
花粉症がひどくて、呑気に落語を聴いている気分ではないのだが、川柳師の独演会だから何としても足を運ぶ。
開口一番はつくし。本当は歌いたい病の老人なのに「噺家」を偽装していたことが発覚し、寄席から干される川柳。おかみさんは心機一転で古典の稽古をさせるため、楽太郎を訪れるが、楽太郎が昔瀬古俊彦を偽装していたことを知って方針転換。福田首相を川柳の替え玉に仕立てる。福田の川柳は筋が良く、古典落語がめきめき上達し、三年目には遂に円生を襲名する。一方総理になった川柳の福田も、日銀総裁に羽賀研二を据えるなどのハチャメチャな人事があたり、名宰相と呼ばれる。川柳出世の一席。記者会見で偽装を指摘されるところが面白かったが、やや竜頭蛇尾の感あり。後半もうひと練り欲しいところ。
わか馬の高座は可もなく不可もない。ギターが弾けて、コーラスができるので呼ばれているわけだから仕方がないだろう。本人も心得ているようで、変な工夫をするわけでなく、あっさりまとめていた。
中入り前の「昭和音曲噺」はどんなことをやるのかと思っていたら、高座に上がるなり「ガーコンです」と内容を暴露。カセットとCDの宣伝をやってから、たっぷり一時間近い「大ガーコン」。何十回も聴いているけど、何十回聴いても楽しい。近頃は聴きながら、「あ~師匠、敵の歌だっての抜かしちゃったよ」などと思っている。恐らくこの独演会に足を運んでいる多くの客が、同じような気持ちで聴いているのだろう。
中入り後はます短いスライド上映、川柳師の幼少から現在までの写真を映写して一旦緞帳が下りる。
再び緞帳が上がると、絃楽トリオ。つくしのウクレレ、川柳とわか馬がギターとヴォーカル。日米の名曲を次々と歌う。相変わらずの美声である。多少とちったりするところもご愛敬で、歌いっぱなしの四十分だった。始まってすぐ見知らぬオッサン(文左衛門?)が加わり、コップや茶碗を叩いていたが、全く場違い。リズム感のかけらもなく、自分が目立ちたくて仕方がない空気ばかり感じる。今日は川柳の会なんだから、川柳の邪魔をしてどうする気だ。
最後はお馴染みの「ラ・マラゲーニャ」。いいんです楽しければ。「今流行のよろめき現象」だろうが、「ネチョリンコンの真っ最中」だろうが。それにしても、常連客ばかりのはずなのに、一回目に声を延ばすところで拍手をする間抜けがいるのはどういう事か。そこを黙ってやり過ごさなかったら、二回目で拍手を促して「ボンヤリしてちゃだめ~」のギャグが生きないじゃないか。
「自分の会はこれが最後」と川柳師は言っていたが、そんなこと言わずにやって欲しい。「ガーコン」と歌以外はスケを頼んだっていい。後の噺家がみんな真似するくらいヨレヨレになっても高座に上がり、彦六師を越えて欲しいと思っている。
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