黒崎高尾の断崖
決算が一段落ついたので、貯まった代休を使って旅行に行くことにした。ここのところ、とにかく船に乗りたい衝動に駆られていたので、島に行くことにした。
伊豆諸島の内未上陸の利島か御蔵島に行こうと検討するが、利島はこの時期夜行の客船が運休しているので却下。御蔵島へ向かう。
土曜の夜、行きつけの飲み屋で作ってもらったおにぎり弁当をリュックに詰めて、竹芝桟橋から乗船。翌朝六時に御蔵島着。予約しておいた「しげを工房」のクルマに乗せられて宿に着く。一時間ほど寝てから、島内の探索を開始する。
御蔵島は二〇〇四年から「エコツーリズム」を制定しており、ガイド無しで立ち入れる区域が限られている。私は無計画な一人旅だし、ガイドと二人で行動するのも気が進まない。だから、行ってみたかった御代ヶ池も御山へも行くことが出来ないのは残念だ。せめてもの救いは、黒崎高尾の断崖にはガイド無しで行けることだ。
黒崎高尾の断崖は、八丈島から東京行きの船に乗ると見える、黒潮に削られた東洋一と言われる海蝕崖で、海から見上げるとその高さ(四八〇メートル)に圧倒される。あの上から海岸を見下ろしたら、さぞもの凄い眺めだろうと、高いところ好きの血が騒ぐ。
宿を出て集落を離れ、村道を歩いていく。車道はコンクリートで舗装されている。途中でエビネ公園へ作業に行く島民のオッサンがクルマに乗せてくれて、色々島の話を聞く。エビネ公園から黒崎高尾までは数百メートルの山道で、すぐに到着する。大きな期待を胸に展望台から海岸線を見下ろしたのだが、ちっともすごくないし、感動もしないのだ。
理由は二つある。高さ四八〇メートルという高さが、余りに高すぎて認識不能なこと。霧が出てきて、展望台の真下は見えるが、周辺の眺望が利かないこと。晴れて遠くが見渡せればいいのにと思いながら、展望台の上で弁当を食べた。
その後エビネ公園を見学してから集落まで歩き、港で東京行きの着発を見学、その後タンテイロ巨樹の森を散策する。
翌月曜日は生憎の雨模様だが、取り敢えず都道を南郷方面へ向かう。南郷までは辿り着けなくても、せめて川田橋まで行こうと思ったのだが、雨脚も強くなり、道ばたにある伊奈佐のシイを見て引き返す。集落に戻った頃には全身ずぶ濡れ。つくづく雨男な自分に呆れる。
島唯一の食堂「やまや」で、ビールを飲み、東京行き「かめりあ丸」に乗船してからも、酒を飲む。船内の軽食コーナーで、前から気になっていた「マンゴーカレー」を注文してみる。出されたものは一瞬普通のカレーライスだが、確かにマンゴーの果肉(ドライフルーツだと思うが)が三切れほど入っている。これで普通のカレーより二〇〇円増とは納得がいかない。いつか誰かをそそのかして食べさせようと思う。
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