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2008年4月11日 (金)

変電所火災で思い出した歌

 二〇〇八年四月一〇日木曜日、午前七時五〇分頃。私は税理士事務所に決算資料を持ち込むべく、立川駅のホームにいた。税理士事務所のある東京駅までは一時間弱。約束の十時よりは一時間ほど早く着いて、喫茶店でお茶を飲んで余裕の到着になる予定だった。しかし・・・。
 向かいのホームに停まっている電車がちっとも動かないなと訝しんでいると、駅の案内放送が「国分寺駅の変電所で火災が発生し、電気が足らないため電車を動かせません」と告げる。普段だったら喜んで電車が動くまで暇をつぶすところだが、今日はそうはいかない。資料は自分が預かっているから、自分が行かないと税理士も同僚も何も出来ないのだ。
 振り替え輸送で大混雑の南武線に乗車し分倍河原で下車。京王線に乗り換えたいが、ホーム上に人が溢れてちっとも進まない。ようやく京王線のホームに辿り着き各駅停車新宿行きに乗車。一つ目の府中で準特急に乗り換えるが殺人的な混雑で、多客混雑も重なってノロノロ運転。目の前のオヤジの後ろ頭に見覚えがあると思ったら、毎日立川から目黒まで一緒の電車の一緒の車両に乗っているオッサンだったので二度びっくり。
 十時近くなってやっと新宿に到着。税理士事務所と同僚に電話し状況を説明し、中央総武各駅停車に乗ろうとすると、ホーム上に人が溢れているため、入ってきた電車に傘が当たり、異音感知で数分抑止。秋葉原で京浜東北線に乗り換え、東京駅に着いたのが十時二十分頃。既に二十分の遅刻。
 昨日資料を預けたコインロッカーから取り出した資料を抱え、駅構内を税理士事務所へ向かって走る。その時何故か、走りながら自然に歌を唄っていた。曲は中島みゆきの「遍路」。息が切れているが、走っているのをいいことに結構大きな声で歌っていた。

もう幾つ目の 遠回り道 行き止まり道
手にさげた鈴の音は
帰ろうと言う 急ごうと言う
うなずく私は 帰り道も とうになくしたのを知っている

 全く急ぐ局面に相応しい歌ではないのに、何でいきなり歌い始めたのか、その時は気にしなかったが、後で冷静になると気になってくる。

 よくよく思い返してみたら判明しました。東京駅の電光掲示で京浜東北線の「磯子」行きを見た瞬間に、「帰ろうと言う 急ごうと言う」の歌詞を連想したようです。つまり私は、血相変えて駆けだしながら「帰ろうと言う、磯子と言う」と唄っていたわけですな。

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