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2008年5月 6日 (火)

死に花(二〇〇四「死に花」制作委員会)

東映DVD

 原作は文庫化されてすぐに読んだと思う。原作者の太田蘭三の作品は殆ど読んでいる。何故なら作者の居住地が近く、身近な立川、国立近辺や奥多摩方面が舞台になることが多いからだ。
 太田蘭三の小説自体は、水戸黄門のドラマのようにワンパターン。特に近年はその傾向が強い。「顔の無い刑事」シリーズの最新刊などは、執拗かつ低レヴェルな下ネタ駄洒落が不愉快で、読み続けるのが苦痛。読み飛ばし系ミステリーなのに、途中で何度も投げ出したくなり、読み終わるのに一週間もかかってしまった。
 そのように劣化し続ける太田蘭三の作品の中で、この「死に花」は久々の傑作で、すらすら読めたと記憶している。

 映画化されたのは四年前だが、それから現在までの間に、出演者の青島幸夫と藤岡琢也が鬼籍に入っている。時代の流れを感じる。
 原作を詳しく覚えてはいないし、読み返すつもりもないのだが、映画化に際しては上手に物語を刈り込み、かつ付け加えて面白くしているように感じる。特に、多分原作にはなかった、老人ホーム職員の和子が途中からメンバーに加わる設定が、老人ばかりの現金強奪チームに花を添えていたと思う。
 わざわざ映画館に観に行く映画でもないが、ちょっとDVDを借りて観るには手頃で面白い映画だと思う。

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