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2008年5月29日 (木)

離島航路の醍醐味

あぜりあ丸 神新汽船 貨客船 四八〇総噸
一九八八年二月 三菱重工下関工場で建造

 また島へ行ってきた。行き先は、伊豆諸島唯一の未踏の地である利島。土曜日8時05分竹芝桟橋発のジェットフォイル「セブンアイランド愛」で二時間半。波さえなければあっという間の到着だ。天候は下り坂の予想だったので、雨が降り出す前に急いで宮塚山(標高五〇七、五メートル)に登る。山頂は木立の中で眺望はゼロ。北側の展望台から集落を見下ろす。
 雨が降り出したので急いで下山するが、日頃運動不足の膝がガクガクになる。麓に降りると雨は本降りに。島民の軽トラに乗せてもらって集落に戻る。時刻は十四時。利島港まで戻って、下田行き、あぜりあ丸の着発を見守る。この船に乗るのが今回の第二の目標で、敢えて一番乗船時間が長い利島から神津島経由下田行きを選んだのだ。乗降が済んだところで船員のtoshi@maruさんに声をかける。
「へべれけです。お久しぶりです。明日下田まで乗りますので」
toshi@maruさんは、
「明日?、着けるかなあ?。下手するとハマるよ」
と笑う。

 翌日の就航状況は、ジェットフォイルが大島以外欠航、かめりあ丸が大島以外条件付、あぜりあ丸は全島条件付。このような場合、経験上利島以外は就航する事が多い。朝のかめりあ丸が利島に着いてくれれば、新島、式根島、神津島のいずれかで、あぜりあ丸に乗り継げる可能性は高い。風は強いが南風で、宿から見下ろす利島港桟橋の波は静かだ。
 朝飯も食わずに港へ向かい、無事着岸したかめりあ丸に乗船。確実なのは神津島乗り継ぎだが、それだとあぜりあ丸に乗れる時間が短くなり、各島での接岸荷役作業も見られない。南風だから大丈夫と判断し新島で下船。時間があるので温泉に行ってみるが、露天風呂は水着着用、温泉センターは営業時間前。仕方なく足湯で時間をつぶす。防災無線が「あぜりあ丸は利島欠航のため、早発11時20分」と告げる。計略が当たった。
 無事接岸したあぜりあ丸に乗り込み、toshi@maruさんにご挨拶。二年半ぶりの再会だ。
 このあぜりあ丸という貨客船は、重要文化財に指定したいほど船の魅力を満載した船だ。魅力を列挙すると、
・条件の悪い離島港湾での力強い離着岸作業
・同じくコンテナ荷役作業(見事なデリック操作)
・小型船ならではの動揺(フィンスタビライザ非搭載)
・職人的な操船作業(バウスラスター非搭載)
・伝統の技を持つ乗務員(一等船室には花毛布)
 といったことが挙げられる。メイン航路から外れているために、大型化・効率化の波に洗われることなく、古き佳き船旅の情緒が味わえる路線である。
 toshi@maruさんに、昨年トカラ航路に乗船したことを話すと、
「トカラ(列島)と大東(島)は聖域だなあ。でも、大阪以西の人にとっては本船が聖域なんだろうけど」
と、実に本質を突いた言葉が返ってきた。

 下田までのアプローチが中途半端な距離なので、なかなか乗船できないあぜりあ丸だが、出来るだけ機会を作って乗りに行きたいと思っている。

 終着の下田が近づく。波は相変わらずで船は心地よく揺れているが、雨は上がり、日が差して来た。近年拍車がかかってきた自分の雨男ぶりに呆れつつ、toshi@maruさんに再会を誓ってあぜりあ丸を後にした。

Azeria080524

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