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2008年8月29日 (金)

鯉を釣る

 多摩川まで自転車で三分という環境で育ったので、最初に覚えた釣りはハヤやヤマベの按摩釣りだった。そしてウキ釣りを覚え、リール竿を買ってもらうと鯉釣りと進んだ。鯉釣りは専ら吸い込み仕掛け。十三尺の磯竿にナイロン一〇号というごつい仕掛けで、三〇センチくらいの鯉をゴリゴリ抜き上げるという、今となっては甚だ釣趣に欠ける釣り方だった。しかし、吸い込み釣りで釣れるのは四〇センチ台が一杯で、五〇センチ台は殆ど上げたことがない。そんなことをしている内に飽きてしまい。その後は渓流釣りやワカサギ釣り、多摩川ではナマズ釣りか、小物釣りをしていた。
 何年か前からネットなどで「食パンを餌にして流すと大物の鯉が簡単に釣れる」という情報を得ていたのだが、先々月あたりからこの「鯉のパン流し釣り」を始めてみた。

 シーバス用の竿に道糸四号、ハリス三号(最初は三号、二号だったが、大物が掛かると糸切れが多くなるので、釣趣より魚体への負担を考えて太くした)、自作の飛ばしウキとヘラスレ一〇号の一本針という仕掛けだ。
 一番難しいのは飛ばしウキで、市販のものや浮くタイプのルアーを使ったりしたが、結局どれも帯に短しで自作することにした。現在使っているのは二タイプ。

一、直径四センチの丸い木の棒を四センチに切って中心に穴を開けたもの
二、一と同じ形状の発泡ポリウレタンに適当なオモリを仕込んだもの

 二の素材はネットで評判の「小林重工のコ式」という鯉用ルアーにヒントを得た素材だが、私のやり方はハリスは三〇センチほどの長さなので、あくまで飛ばしウキである。円筒形で水の抵抗が大きい形状にしているのには訳がある。
 パン流し釣りでは、上流に立ち込んで仕掛けを流すスタイルとなり、糸はなるべく張らずに、餌が自然に流れるようにする。そうすると、何十メートルも流せば相当な糸ふけが出て、鯉の補食を目視しても合わせが間に合わないことが多い。試行錯誤中に水の抵抗が大きいジッターバグというルアーを逆さまにして飛ばしウキ代わりにしたら、何だか向こう合わせが多かったことがヒントになっている。鯉がパンを補食して反転した際に、ウキの抵抗で針掛かりするというのが狙いである。
 この作戦は結構うまく行き、猛暑だったにもかかわらずそこそこの成績を収めている。これから水温が下がって鯉が活性化してきたら、更にペースも上がるのではないかと期待している。なお、パン流しで釣れる鯉は大型のものが多く、大体五〇から七〇センチの間である。小学生の時にこんなヤツが釣れたら、足が震えちゃっただろうなと思う。たかが鯉釣りだが、一回釣行する度に釣れない理由や釣れる理由を考え、仕掛け、餌、釣り方などに工夫を凝らす。それがまた思い通りに行かないところが釣りの面白さだと思う。

 昨晩の大雨で多摩川は相当増水しただろう。今週末は地元で鯉を釣るか、下流でハゼを釣るか迷うところだが、増水したままではどうにもならない。天候が回復して、早く水が引いてくれることを祈るばかりだ。

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