伊ヶ谷港入港
正月に家にいても無為に酒を飲むばかりなので、何処かへ行くことにした。十二月に新しいハンディGPSを買ったので、それを試すためにも海と山があるところへ行きたい。となると、去年雨のため途中で引き返した、御蔵島の南郷地区へ行ってみたい。元旦なのにそれほど酒も飲まず、竹芝桟橋から船に乗る。この時期三八航路(三宅島、御蔵島、八丈島行き)は普段と逆でかめりあ丸が就航。生憎、太平洋沖の低気圧の影響で、全島条件付きの出帆である。
翌朝、三宅島は北西の風を避けて東側の三池港に入港。うねりが大きく、着岸作業は大変そうだ。北西の風なので御蔵島は欠航。残念だが仕方がない。かめりあ丸は八丈島へ向かうが、波が高いわりに追い風なので揺れない。ただし、折り返すと向かい風になるので大揺れが期待できる。楽しくなってきた。
普段なら既に一杯やっているところだが、何故か酒も飲まないまま折り返し八丈島発。島影を出た途端に、面白いほどの大揺れだ。Aデッキの甲板で、ジェットコースター気分で楽しんでいたのだが、何だかだんだん楽しくなくなってきた。気持ちが悪いのだ。どうやら船酔いしたらしい。普段は大揺れの船でも酔ったりすることはないのだが、今日は酒を飲む気が起こらないなど、体調が悪いようだ。見る見る気分が悪くなり、まさかのリバース。高校二年の時の旧あおがしま丸以来である。普段船旅の時には、船マニアのあいだで「酔ってから飲んでも効く」と評判の「アネロン・ニスキャップ」を常備している(自分のためではなく、周りで苦しんでいる人のため)のだが、秋に船釣りに行った時に釣り道具リュックの方に入れてしまって、今回は持っていない。どうにもならないので、船室で横になっている。
一眠りしたら大分楽になった。そろそろ三宅島に着く頃だと思って甲板に出る。北西の風なのに船は欠航の御蔵島を右にかわし、三宅島を右舷側に見ている。「上りは錆ヶ浜港に着けるのかしらん」と思って見ていると、錆ヶ浜沖に差し掛かっても進路を変える気配がない。「三宅島も欠航するにしては放送が入らないな」と訝しんでいると、錆ヶ浜港をやり過ごした先で進路を変えて島に近づく。どうやら伊ヶ谷港に入港するらしい。
伊ヶ谷港は三池港、錆ヶ浜港に続く三宅島第三の港で、一昨年の八月に初めて定期船が接岸した。新島の羽伏港と並び、滅多に定期船が入港する事はない。ここに入港する定期船に乗れるのは、かなり貴重な体験と言えるだろう。確かに風と波は北西からだが、朝の三池港に比べうねりが入らない分接岸作業も順調だ。八丈島からの乗船は三十名くらいだったが、三宅島からは二百名くらい乗った様子だった。
昨年末には、さるびあ丸が新島の羽伏港に入港したらしい。こちらも滅多に機会は無いが、いつか着いてみたい。そして、今私が興味を持っているのは、式根島港(足付港)に定期船が接岸することがあるのかということだ。
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