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2009年3月13日 (金)

東京交響楽団特別演奏会

「西本智実 マーラーと向き合う!」

二〇〇九年三月十二日所沢市民センター ミューズ アークホール

マーラー/交響曲第二番ハ短調「復活」

澤畑恵美(ソプラノ)、伊原直子(アルト)
合唱/東響コーラス
管絃楽/東京交響楽団
指揮/西本智実

 日本初の美人女性指揮者、西本智実を聴いてみる。暮れに第九を聴きに行こうと思ったのだが、軒並み完売。第九なら実力は一発で判るが、復活の場合曲がとりとめないだけに、勢いで騙される危険がある。特に若い指揮者の場合は、無謀な挑発にオケが乗った場合、思わぬ興奮を呼ぶので用心しなければいけない。あくまで美人指揮者の実力を見極めるのが目的だ。今までの唯一の体験がHMVの試聴機で聴いた新世界第四楽章の一分程度で、まったく凡庸な演奏としか印象がないのだが、それを覆してくれるのだろうか。

 舞台に登場した西本は確かに格好いい。言い古されているが宝塚歌劇の男役のような容貌と身のこなしに燕尾服が似合っている。指揮姿も決まっていて、大きな拍の前で、左手を前に差し出して、指揮棒を頭の後ろまで振りかぶる「決めポーズ」が何度も繰り出される。客層は宝塚同様、中高年の女性が圧倒的に多かった。以上おしまい。

 というわけにもいかないので、演奏についても書きたいのだが、これが困る。特にここがひどかったとか、ここは振り間違えたとか落っこちたとかは無い。そして、いいと思った部分も皆無。若手らしい思い切った表現、テンポなども一切無し。無い無い尽くしで退屈。途中で何度もまったく関係のないことを考えてしまうほど、求心力のない演奏だった。
 面白くない理由は単純だと思う。西本自身に音楽表現の欲が無いのだろう。指揮者になる動機は色々あるだろうが、この人は格好いいから指揮をしたかったのだろう。音楽は自分の華麗な指揮姿の材料でしかない。派手で起伏のある曲の方が、都合がいいのではないか。副題が「西本智実 マーラーと向き合う!」となっているが、彼女が向き合っているのはマーラーの音楽ではなく、マーラーを透かした姿見のような気がする。
 欠点として、決して判りにくい棒ではないのに、ルバートしてドカンといくところがもたつくのは、例の「決めのポーズ」を無理して繰り出すからだ。大きく図形を描いてやればいいのに、中途半端なところでサッと「決めのポーズ」を出すから、慣れないオケが合わせるのに苦労するのだと思う。

 舞台映えのする演奏家で、固定ファンも多いようなので、各オケも上手に客演指揮者として使えばいいと思う。クラシックファンの拡大には繋がらないが、オケの収支には貢献できる指揮者だと思う。

 終演後、偶然エキストラで乗っていた仲良しのEさんと酒盛り。プロの演奏家であるEさんと、素人である私と、「感動する指揮者がいない」という点で意見が一致。有能な若手がもっと出てくるといいのだが。

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