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2009年10月 3日 (土)

宮脇俊三「終着駅」(河出書房新社二〇〇九)

 私の鉄道熱は、二〇〇二年に国鉄完乗を達成し、二〇〇三年に宮脇俊三が亡くなってから一気に醒めてしまい、すっかりアクティブでなくなってしまった。思い返せば、休みのたびにせっせと乗り鉄に出かけ、その様子を文章にして一人悦に入っていた私は、実は鉄道マニアだったのではなく、宮脇俊三マニアだったのではないかと思う。だから、没後六年を経て、未刊行のエッセイと雑文を集めた本書の刊行は望外の喜びである。

 本書は「終着駅は始発駅」「汽車との散歩」「旅は自由席」の三冊に続くエッセイと雑文集になるが、前の三冊と決定的に違うのは、表題、構成ともに作者があずかり知らないということだろう。前の三冊は単行本未所収の文章から選んで構成するという作りだったのに比べ、今回は残り物を寄せ集めた感があるので、やはり一冊の本としての出来は良くない。内容的にも既刊の文章と重複する内容が多く、目新しかったのは「突然、アガらなくなった」「テニスで心機一転」などの鉄道とは関係のないエッセイで、紀行作家のエッセイ集に所収されなかったのも納得がいく内容のものだ。
 宮脇ファンにとっては、このような形で新たな文章に接する事が出来るのは嬉しい。しかし、宮脇俊三の著作として見ると褒められるものではない。どう評価するかは難しいところだが、正直なところ自分は読めて良かったが、宮脇ファン以外の人には他のエッセイ集から入ってもらいたい。そして、宮脇ファンになって他に読むものがなくなったら読んで欲しい。

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