« 宮脇俊三「終着駅」(河出書房新社二〇〇九) | トップページ | 保田武宏「志ん生の昭和」(アスキー新書二〇〇九) »

2009年10月13日 (火)

水陸両用車

LEGEND零TWO号(コーワテック二〇〇九)

水陸両用車 四、八総噸(総重量一〇、五一トン)
旅客定員四〇人 全長一一、九五m、全幅二、四五m
最高速度(陸上)時速九〇km、(水上)五、〇ノット

 ワカサギ釣りとキャンプをしに、従兄弟と長野県の諏訪湖へ行った。
 一日目は偵察のつもりで湖畔を徘徊していると、変な形のクルマが走ってくるのに遭遇。すぐにテレビで見たことのある水陸両用車と気付き、早速追尾してみる。乗客が乗っているので試験運転などではない雰囲気だ。しばらく追尾すると湖畔の美術館の駐車場に入っていく。駐車場の一角に水陸両用車乗り場があり、タラップから乗客が降りてくる。乗船券売り場でパンフレットをもらい話を聞く。朝九時から一時間半ごとに六便運行しており、所要時間約一時間で、運賃は大人三〇〇〇円。空席があれば当日でも乗れるとのこと。従兄弟と相談して、翌日のワカサギ釣りは早めに切り上げて乗ってみようと意見が一致する。

 湖からほど近いキャンプ場で一泊し、翌日は朝からワカサギ釣り。五六年前までの四百五百は当たり前だった諏訪湖の面影はなく。メダカのような当歳魚ばかりで一五〇弱の釣果。風も強くなったので二時に切り上げて水陸両用車へ向かう。

 昨日見かけた土曜の十二の昼の便は閑散としていたのに、日曜三時便は満席とのこと。直前に湖上から電話予約して大正解。
 小型船の船底の下にバスのシャーシが入っている構造なので、客席はかなり高い位置にある。操縦席は通常のバスの運転台に、船の操縦機能を付け足した感じで、運転席の正面にステアリング、その右横に小さな舵輪と船の計器類、シフトレバーの隣(左)に船の推進レバー(ワンハンドル)が配置されている。車両と船舶の操作系統が完全に分かれているので、切り替えるときの操作が見物になりそうだ。
 時間になり発車すると湖畔の路を進む。足回りを見た感じは板バネのゴツいサスペンションなのでさぞや乗り心地が悪いだろうと思っていたのだが、意外にも普通のバスと変わらない乗り心地。目線が高く眺めがいい。暫く走って御柱広場を見学。東洋バルブの跡地の一角に、諏訪大社上社と下社の御柱を短くしたものが展示されている。子供たちは柱によじ登って楽しそうだ。
 風が強くなってきたが、客席は屋根があるだけのオープンエアなので寒い。なぜ窓を付けないのかと思っていたら、従兄弟曰く「横風を受けないようにじゃない」とのこと。なるほど、重心が高いので、バスとしても船としても横風には弱そうである。
 その後ヨットハーバーに向かい、いよいよ進水。ガイドさんが「風が強いので初島まで行けませんが、二回水に入ります」と説明している。睨んだとおり風には弱いらしく、港内から出ないということらしい。つまり手漕ぎボートより風に弱いということだ。
 進水の瞬間は結構急加速して、一気に水に入る。船舶側は停止しており、進水後は暫く惰力で進むため、チルト式で跳ね上げている推進器を下げられる深さまで一気に行かないとならないようだ。港内をぐるっと回り陸に上がる。ここはもっと難しく、船の推進力でスロープに掛かり、後輪がスロープに触れた瞬間に車輪での駆動に切り替える。正に職人技だ。
 沖に出たときの風と波による揺れ具合は判らなかったが、進水、離水とも二回づつ経験できたので、かなり細かく観察することが出来た。次回は初島まで行って、親子はくちょう丸や竜宮丸などの遊覧船と並ぶところを見てみたいと思う。

 せっかく楽しい水陸両用車なのに、宣伝が足らないようで残念だ。運営しているのは大阪の会社らしいが、町全体で観光の目玉にしていこうという雰囲気は皆無。おそらく地元民は「よそ者が何やらやっているけど無視」という冷ややかなムードなのだろう。大人も子供も楽しめる素材なのだから、地元が協力すれば観光地としての諏訪湖の新しい魅力になると思う。五月から運行を始めて延べ一万人が乗車したと言っていたが、半年で収入が(全員有料の大人としても)三千万。車両建造費が一億円と聞かされなくても赤字運行だろうと想像がつく。このままではいつまで続くか覚束ない。運営会社と地元観光協会、旅館組合などが協力して企画乗車船券などを作るべきだ。既存の遊覧船と競合するのは仕方ないが、運航エリアを初島周遊と湖全体に棲み分けるなどして共存を図るべきだ。地元遊覧船も閑古鳥が鳴いているので、共倒れにならないことを祈るばかりだ。

|

« 宮脇俊三「終着駅」(河出書房新社二〇〇九) | トップページ | 保田武宏「志ん生の昭和」(アスキー新書二〇〇九) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 宮脇俊三「終着駅」(河出書房新社二〇〇九) | トップページ | 保田武宏「志ん生の昭和」(アスキー新書二〇〇九) »