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2009年11月16日 (月)

藤沢の千人 二〇〇九

藤沢市民交響楽団創立五〇周年記念演奏会
二〇〇九年十一月十四日(土)藤沢市民会館

独唱/菅英三子、山本香代、半田美和子(ソプラノ)
    栗林朋子、牧野真由美(アルト)
    福井敬(テノール)、久保和範(バリトン)、久保田真澄(バス)
合唱/藤沢市合唱連盟、藤沢市合唱連盟ジュニア団体
合唱指揮/浅野深雪、藤原規生
管絃楽/藤沢市民交響楽団
指揮/現田茂夫

マーラー/交響曲第8番変ホ長調「千人の交響曲」

 藤沢市民交響楽団というアマチュアオーケストラがマーラーの千人を演奏するというので藤沢市民会館へ足を運んだ。藤沢市民会館といえば一九七九年に日本で三番目に千人が演奏された会場であり、その録音が最近CDに復刻されて大好評である。この三〇年前の上演は藤沢市民会館の開館一〇周年記念事業、今回の上演は藤沢市民交響楽団の創立五〇周年記念公演。そのどちらにも福永陽一郎という合唱指揮者が関わっている。この五〇年前にアマチュアオケを創設し、三〇年前に藤沢市の文化担当参与を務めていた人物がいたお陰で、藤沢市は現在も藤沢市民オペラなどで知られる文化都市なのである。

 それはさておき、アマチュアオケと合唱による千人を聴いてみた。ある意味予想通り。特に管楽器は危ないところは大抵音がひっくり返っていて、アマチュアらしかった。しかし、現田茂夫の指揮は超安全運転。きっちり拍を数え、余計なルバートは一切せず、テンポを煽るようなことも一切無し。私のようなヒネクレ者がアマオケの千人に期待する派手な落っこちなどは見られなかった。そういう意味で面白味はなかったが、聴き通すと結構充実した演奏ということが出来るだろう。
 合唱も寄せ集めにしては良く練習したようで合格点。児童合唱が今時珍しい黄色い声(裏声でない子供の声)で唱っていたのはご愛敬か。ソリストは女性陣は普通の出来で、バリトン、バスは声量不足。そして、テノールは最悪。カラオケ好きなオッサンのように自分だけ気持ちよくなっている唱い方だ。感動的な最後のマリア崇拝の博士の場面など全くぶち壊しで、聴いていて腹が立った。
 ソリストに不満が残るとは言え、一地方都市のアマチュアのみで千人を上演するというのは大変なことだ。既に三〇年以前に地元の合唱団で千人を上演したという合唱の盛んな地域であり、かつ市民オペラなどを通してレヴェルが持続していることに感動しつつ、日本で六番目のアマチュアオケによる千人上演(音大オケを除く)という快挙を讃えたい。

 ところが、この演奏会では演奏の内容よりも、出演者の服装の方が印象に残るという不思議な演奏会だった。
 一つめは指揮者の舞台衣装。現田茂夫の衣装はどういうつもりなのか。灰色の詰襟燕尾服とでも表現すればいいのだろうか。ベルトの辺りまでは灰色の学生服のようで前はのど仏までぴっちり閉まっているのだが、ベルトから下は前が斜め三角に切れて後ろにゴキブリの羽のような燕尾服という珍妙な服だ。形が面白コスチュームなだけではない。色が灰色なので演奏が進むと汗がにじみ、両肩胛骨と両肘の所から汗のシミが広がって来るのだ。途中からはあのシミがどこまで広がるかばかりが気になって仕方なかった。初めて着るわけではないだろうから、シミが広がるのも確信の上なのか。ん、もしかして「汗がこんなににじむほど熱演してます」という演出なのか?。旧新星日響の労働者階級の客は喜んだかも知れないが、一般客は喜ばないし、東響だったら出入り止めだ。現田ファンは汗じみの広がり具合で、今日はまだ余裕があったとか渾身の指揮とか判るのかも知れない。
 もう一つは第三ソプラノの衣装。栄光の聖母役の第三ソプラノは、今回は舞台袖で唱うという演出であった。私個人の考えでは金管バンダと同じ二階客席で唱った方が、それを受けてマリア崇拝の博士が唱うことになるので好ましいと思うが、今回は何故か舞台袖で唱っていて姿は見えなかった。しかし、カーテンコールに出てきた姿を見て仰天。胸元がヘソの上までV字に大きく開いたドレスで、「乳首は隠れてますが何か?」とでも言っているかのようだ。千人のソリスト八人の中で、一瞬しか唱わないのに注目だけは浴びやすい第三ソプラノは難しい役回りだ。脇役なのに素晴らしい歌唱で主役を食ってしまったというならいいが、ちょい役なのに過激な衣装で一番目立ってどうするのだ。少なくとも私のような下世話な中年のオッサンにとって、この演奏会で一番印象に残ったのは「半田美和子のおっぱいが見えそうだった」ことであり、演奏の印象などはすっかり消し飛んでしまった。勿論、文化都市藤沢の聴衆はハイレヴェルだから、おっぱいも芸術として鑑賞するに違いないが……。それにしても、半田美和子は自分の立場や周りとのバランスとかを一切気にかけない超天然なのか、なりふり構わず自分が一番目立ちたいワガママ女なのか。どっちにしても、周りからすると困った人なんだろう。

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コメント

初めまして。おもしろくこのブログを読ませていただきました。
現田氏の燕尾服は、まあ、分かる人にはわかるのでしょう。ヨーロッパの修士課程で勉強している私には、至極普通のことに思います。ゴキブリ…まあ、物はいいようですよね。誰もがやっていることをよしとする、まあ、典型的な遅れた日本人にはわからないのでしょう。一般客は喜ばない? 統計の提示を願います。あなたの意見を一般客全般の意見として言うのはいかがなものでしょうか(すいません、経済学専攻の修士課程故、数字がほしいです)。彼の汗のにじみは、私は見たことがありません。ファンがそう思う? どこからそのような意見が出てきたのでしょうか?

まあ、2009年のブログですしね。今更やんやいうのもいやですが、あなたの言うところの、いわゆる「現田ファン」として、投稿させていただきました。ただ音楽の評価だけすればいいものを…なんてね。オソマツ!!

投稿: Tomo | 2013年8月 4日 (日) 03時07分

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