落語DEBAYASHI~出囃子~
徳間ジャパン/TKCA-七三三一九(二〇〇八)
二〇〇八年に発売されて、すぐに廃盤になった出囃子のCD。TSUTAYAの宅配レンタルで発見して借りてみて、二つの事に驚いた。
一つ目はCDの内容。噺家の世界にありがちな、ぞろっぺな仕事だ。今までに色々発売されている出囃子のCDは三味線二挺と太鼓、笛を基本編成とし、随時鳴り物を追加する感じだ。ところがこのCDは基本三味線一挺と太鼓のみ。普段の寄席で聞くのと同じ状態だ。
さらに、演奏も決してほめられたものではない。まず、出囃子というのは長唄などの一部を使うのだが、曲の切り出し方が短い。「元禄花見踊り」などは第二主題(とは言わないだろうが便宜的にそう呼ぶ)まで行かず、第一主題のみを繰り返しておしまい。その繰り返すきっかけの太鼓の合いの手が間抜けでガッカリする。三味線も太鼓も、時に寄席で聞かれるヨレヨレの状態ではないが、決して上手とは言い難い。そして、もう一つの疑問が演奏時間。一曲の演奏時間が一分弱の物が多い。落語会などで生のお囃子代わりに使いたい場合、出囃子の演奏時間は一分半くらい欲しい。前の演者が高座から降りるところから演奏を初めて、高座返しをして次の演者が板に付くまでは結構時間がかかる。一分弱ではやや心許ない気がするのだ。
つまり、出囃子を聴かせる事を目標とするには演奏がお粗末だし、実用向けにしては演奏時間が短いので、何をめざして作ったCDなのかが判らないのだ。ついでに個人的な感想を言わせてもらえれば、「白鳥の湖」の太鼓をスキップリズムで叩くのは反則。「野崎」や「菖蒲浴衣」みたいな大太鼓の刻みにしなくては、難曲らしさが出ない。
もう一つ驚いたのは、TSUTAYAの宅配レンタルの方法。ネットで予約するとゆうメールで届き、ゆうメールで返却というシステムは良くできているが、送られてきたのは裸のCDのみ。ブックレットもインレイも無し。それだけでは曲名すら判らない。ネットで予約できるんだから、曲目もネットで確認せよということなのだろうか。曲名はネットで調べられたが、演奏者が誰であるかは結局判らず終い。それ以上のデータは全く不明。クラシック音楽を聴くことが多い私が知りたい、録音データなどは知りようがないのだ。そういうことが知りたいならCDを買えということなのだろう。今回は廃盤になっていたのでレンタルで借りたが、すぐに返却して退会手続きをした。古い人間は宅配レンタルCDには馴染めないようだ。
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コメント
はじめまして
今度落語会で使う出囃子「梅は咲いたか」を探していたらここに辿り着きました^^;
いろいろ収録されているCDを探しているのですが、おっしゃる通り、時間が短すぎるのですこの徳間ジャパンのCDだと。。。
もし他にいいCDをご存知でしたら教えていただけないでしょうか?
投稿: mami | 2010年8月 6日 (金) 17時02分
mamiさんようこそ。
手に入りやすい順に、
1.「決定版!寄席囃子100」SONY(来幅)/MHCL1683-5 2'05"
→笛、鉦入り。ただし笛が下手
2.「寄席囃子集」コロムビア/COCJ-34900 0'19"(実測)
→鉦入り。弾き出す前に海老一染太郎が「梅は咲いたか」と言うのが気持ち悪い。
3.「寄席囃子/ひので会」ビクター/VZCG-636 1'17"
→笛、鉦入り。演奏自体はピカイチ。
4.「寄席囃子2」NHKサービスセンター(番号無し) 1'18"
→笛、鉦入り。非売品?。昔、寄席の売店で売っていた。
演奏だけを取れば橘つや、平川てるの名人二名が弾いている3だが、入手しやすさと時間から実用的なのは1でしょうか。CD三枚組で五千円と値の張るのが難ですが、4が入手困難な現在、一番使える出囃子のCDと思われます。
投稿: へべれけ | 2010年8月 7日 (土) 17時18分
凄い分かりやすい回答ありがとうございます!
やっぱり1の5000円のやつでしょうかねー
2分あれば安心ですし・・・
結構楽に見つけられるものなのかなと思いましたが意外と難しかったです。。。
レンタルもなさそうですし購入するしかないですねー
投稿: mami | 2010年8月10日 (火) 23時49分