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2010年3月 5日 (金)

レナルトの千人

新宿文化センター開館30周年記念演奏会

独唱/安藤赴美子、木下美穂子、安井陽子(ソプラノ)
    加納悦子、小川明子(アルト)、福井敬(テノール)
    福島明也(バリトン)、久保和範(バス)
新宿文化センター開館30周年記念合唱団(合唱指揮/山神健志)
オーケストラとうたうこども合唱団(指導/右近大次郎、二瓶由貴)
早稲田少年合唱団(指導/小松晴子)
鷹南学園三鷹市立中原小学校合唱団(指導/小林莊子)
合唱指揮/郡司博
オルガン/高橋博子
管絃楽/東京フィルハーモニー交響楽団
指揮/オンドレイ・レナルト

マーラー/交響曲第八番変ホ長調「千人の交響曲」

 新宿文化センターはマーラーの交響曲第八番「千人の交響曲」(以下「千人」)が好きらしく、一九九四、一九九九、二〇〇四年と、周年事業の時に千人を取り上げている。今回は開館三〇周年の記念事業。
 レナルトの千人は一九八九年に新星日響を振ったCDを持っている。その時の演奏も、今回の演奏も基本的なアプローチに変更はなく、一言で言えば穏健な演奏。そもそもレナルトは熱演型ではなく、奇をてらった演奏をすることは少ないので安心して聴いていられる。オケにも合唱にも常に抑えめの指示を出し、ここ一番で大音量を要求する音楽作りは、千人のような高カロリーな曲を、オールフォルテになるがちなアマチュア合唱団と演奏する場合、正しいやり方だと思う。
 東フィルの演奏は依頼公演のため若干練習不足に感じたが、レナルトとは新星日響時代からの付き合いなので綻びは無し。縦の線をキッチリ合わせてくる指揮者ではないので、大らかな演奏と言えるだろう。
 臨時編成の合唱団は老人会の様相。ベンチ無しの雛壇に一時間半立っていられるのか心配になる。合唱人口の高齢化が如実に表れた感じがする。レヴェルは何とか合格点という所か。常設でない合唱団を半年でここまで纏めた指導者は大変だったろう。児童合唱は黄色い声を出さずに好演だったが、人数の割に音量が不足気味だった。
 独唱陣はテノールのみ声量が飛び抜けており、非常にバランスが悪い。そのテノールが相変わらず自己陶酔な歌唱なので、レナルトの穏健な音楽から一人浮き上がっている感じだ。テノール以外はレヴェルが揃っており好印象。この曲における第二ソプラノの重要さを改めて感じた。ソリストは指揮者の上下に配置していたが、千人の独唱者は、第一部はオケと合唱の間、第二部は舞台前面に配置したい。合唱と独唱全員がトゥッティの場面で、福井敬の声ばかり聞こえた。
 客席は満席だったが、やはり合唱団の関係者が多いようで、カーテンコールで第三ソプラノが舞台に現れると、「あらあんな人居なかったわよね」などという声が聞こえた。

 第一部のコーダ、バンダが加わる五六四小節(練習番号九一)から突然猛烈にテンポを煽り、何だか判らない内に第一部が終わってしまったが、そこまでがそれほど煽って居なかったので取って付けたようだった。合唱の細かい音階パッセージを唱えないので苦肉の策だったのかも知れないが、ここはテンポを上げず、ちゃんと唱わせて欲しかった。また、第二部の合唱が唱う最後の「hinan」の「hin」(一五二七小節、練習番号二一八の前)をあり得ないような大フェルマータにしたのは、合唱団へのサービスだろうか。いい悪いは別として、聴いていて「やってくれたー!」というカタルシスがあったことは否めない。アマチュア合唱団とのライヴならではのオマケということだろう。

 今年はマーラーの生誕一五〇年、来年は没後百年に当たるが、今のところ千人の上演予定は本公演のみのようだ。せっかくのマーラーイヤーなのだから、千人や、上演機会の少ない四番、大地の歌などを取り上げて欲しい。

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コメント

おひさしぶり。

出演している児童合唱団の1つに、ウチの会社のお客様が在籍しています。指導者のKさんは、母体となっている小学校の元教諭で、卒業生を中心に吹奏楽団も結成されています。
ウチのお客様も当日出演していたかもしれませんね。

投稿: メタ坊 | 2010年3月 9日 (火) 22時42分

 メタ坊さん、お久しぶりです。
 そうですか、御社のお客さまでしたか。
 合唱部隊は本当に老人と子供だけという感じで、日本のアマチュア合唱界は先細りと見受けました。アマオケのみならず、プロオケも気軽に合唱つきの作品を取り上げられなくなりそうです。

投稿: へべれけ | 2010年3月10日 (水) 11時04分

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