« 2011年6月 | トップページ | 2011年8月 »

2011年7月25日 (月)

ヤマカズのマラ九

マーラー/交響曲第九番ニ長調

管絃楽/新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮/山田一雄

一九八六年六月七日 東京文化会館での実況録音

フォンテック FOCD九五二五~六

【プレビュー】

 今年二〇一一年はマーラーの没後百年であり、山田一雄(以下ヤマカズ)の没後二十年という年に当たる。この、私が愛してやまない二人の音楽家の記念すべき年に、ヤマカズ指揮のマーラーの交響曲第九番のCDが発売される。正に望外の喜びで、町内をスキップして回りたいほどの嬉しさだ。
 一九八六年六月七日、東京文化会館で行われた「山田一雄日本芸術院賞受賞記念」新日本フィルハーモニー交響楽団特別演奏会。この演奏会が行われることをチラシで知って狂喜した私は、どんな手を使ったか忘れたが一階中通路後ろの中央寄りという最上の席を確保。満を持して演奏会に臨んだ。演奏は兎に角両端楽章が遅い演奏で、特別演奏会のせいか若干練習不足を感じさせる部分もあったと思う。しかし、細かな傷が問題にならないほどヤマカズの音楽作りは素晴らしく、何度か東京文化会館の舞台上に宇宙が拡がったのが見えた。また、一番最後の音が消えてすぐに拍手をしたお調子者がいたがすぐに拍手は止み、ヤマカズが手を下ろすと盛大な拍手が起こるという。有名なクナッパーツブッシュのブル八のライヴ(一九六三年)を彷彿とする状況などもあった。
 今回の宣伝文句によると、レコード化前提で録音が行われていたらしい。恐らくヤマカズの生前に発売されなかったのは、第一楽章のトランペットの和音がおかしかったのと、第三楽章のハープが一小節ズレるという目立つミスがあったからではないかと思われるが、今回陽の目を見させてくれた関係者に心から感謝したい。
 思い出の演奏会の音源が商品化されるというのは、嬉しい反面恐ろしくもある。高校生だった自分にとっては心が震える一期一会の演奏だったが、録音で改めて聴いたときにどう感じるのか。以前海賊版(膝上録音)で聴いたバーンスタイン/イスラエル・フィルのマラ九は、それなりに伝わるものがあったが、不備な録音が故に思い出が都合良く補正しているとも言えるだろう。今回は正規録音なので、音質的には問題はないだろうが、演奏の内容はどうなのか。
 喜んで買ってみたはいいのだが、当分は再生する勇気が出ない。心身ともにコンディションを整えて聴いてみたいと思う。

【レビュー】

 八月十三日、没後二十周年の命日に心して聴いてみた。隣家が留守なのを確認して、久々にオーディオ機器が実力を発揮出来る音量を出してみた。エアコンのない家とケヤキの大木に囲まれた居住環境なので、ピアニシモになると蝉の鳴き声にかき消されがちだが、最初はどうしてもヘッドフォンで聴きたくはなかった。
 音質はフォンテックの録音なので期待していなかったが、予想以上に良い。東京文化会館の雰囲気が良く捉えられていると思う。
 新日本フィルはヤマカズの音楽に一所懸命追いていくが、やや戸惑いが残っているように感じる。もう少し練習を重ねればいいのだろうが、特に両端楽章のスローテンポ、更にヤマカズの変幻自在なテンポの動きに面食らっているのが見えるようだ。各楽器のソロも不安定で、まだマーラーの九番が珍しいプログラムだったことを感じる。そう言えば、八十年代半ばくらいの在京オケなんて、こんなものだったと思う。当時の水準から言えば金管の裏返りが無い分健闘していると言えるのではないか。
 このCDは、本番とゲネプロを両方録音して、本番のミスの部分をゲネプロで補修しているようだ。私が記憶しているトランペットの和音の崩れ(第一楽章三二三~三二八小節)やハープの一小節遅れ(第三楽章四七九~四八〇小節)は修正されている。しかし、ホルンソロのよれ(第一楽章三八九~三九〇小節)やティンパニの落っこち(第三楽章結尾六六三小節)はそのままである。また、最後の拍手も編集されており、フライング拍手は無かった事になっている。
 私はこの演奏を客席で体験し、その追体験としてこのCDを聴いたので、このような編集は余計な事と感じてしまう。しかし、ヤマカズの音楽を後世に伝えるという意味では必要な事かも知れない。バーンスタインの一連のグラモフォンへの録音のように、繰り返しの観賞に耐える商品として世に送る意味はあると思う。個人的にも目立つ落っこちが無い分、藤沢の千人などより他人に勧めやすい。
 ただ、追体験として聴くと宇野功芳のムラヴィンスキー論かと笑われそうだが、正直客席で聴いた音の何割かしかCDには入っていないと感じる。くどいようだが、私は東京文化会館の舞台上に宇宙の創造を見るような尋常でない体験をしたのだ。爺の妄言としか取られないだろうから、これくらいにしておくが、、、。

 とにかくこの録音を発掘し、陽の目を見せてくれた関係者の皆さんに心から感謝したい。ヤマカズ没後二十周年にこんな嬉しいプレゼントはない。そしてそして、来年の生誕百周年の記念には是非新響を振ったマーラーの交響曲全集をCD化していただけないだろうか。一部録音がかなり不備なのも承知の上で、音楽遺産として後世に伝えて欲しいのである。新響の皆さん、フォンテックさん、タワーレコードさん、是非是非お願いします。

| | コメント (0)

2011年7月 1日 (金)

プラグコード

 ここのところクルマのエンジンが不調だった。普段は問題ないのだが、エンジンの回転数が低く負荷がかかっている状態でスロットルを開くと、四気筒の内どれかが失火しているらしく、ガクンガクンという回転ムラが生じるのだ。具体的に言えば、一般道を走っていて信号待ちの列の後ろに差し掛かった様な場合に、ギヤが四速に入ったまま徐行まで速度落とす。信号が青になって前のクルマが動き出したので、横着してシフトチェンジせずに四速のまま回転数一〇〇〇回転くらいからジワッとアクセルを踏むと、必ずガクガクいうのである。
 症状から推すに点火系統のトラブルであろう。前のクルマの時から、何となく点火プラグはボッシュ、プラグコードは永井電子が気に入っており、今のクルマも社外品を装着している。プラグを見てみると四本ともいい感じに焼けており、カブりや電極の欠損などは見あたらない。問題はプラグコードの方と思われる。
 私の車のエンジンはスズキのM一三Aという形式で、四気筒のうち二気筒はプラグの上に電源が直結されており、プラグコードは二本しかない。この二本を永井電子のブルーポイントパワープラグコードにしているのだが、前回の車検(今年三月)の時その内一本を純正に戻しているのだ。これは社外品のコードの被膜部分が熱で周りにくっついてしまい、引き抜く時に被膜が裂けてしまったためである。ディーラーのメカニックから連絡があり、取り敢えず片方(短い方)だけ純正に戻したままになっていたのだ。しかし、幾ら社外品の高価なプラグコードとは言っても、回転ムラがでるほど純正品と抵抗値が違うとも思えない。はっきりした理由が判らないまま、取り敢えず純正コードを被膜の裂けた社外品に戻してみる。そしてもう片方(長い方)のコードを取り付けようとして気づいた。コードの蓋になる部分が変形しているのである。よく見ると、エンジン上部の穴に蓋になる部分が半分しか入ってない状態だったらしく、斜めに跡がついており、蓋の部分全体がやや変形しているのだ。恐らく車検時にディーラーのメカニックが、扱い慣れない社外品のプラグコードを適当に差し込んで、きっちり填っていなかったものと思われる。穴にきちんと填るように取り付けてみると、見事に回転不良は解消した。
 ディーラーに持ち込む前に念のために見ておこうというつもりだったのだが、良いことをした。ディーラーに持ち込んで任せていたら、何だかんだで結構な出費になったのではないだろうか。前のクルマに乗っていた頃は、車検整備は祖父の代から世話になっている町の自動車整備屋に頼んでおり、このような場合「コードがちゃんと填ってなかったよ」と言われて、費用免除となったと思う。しかし、そこが廃業してしまったので仕方なく現在は全てディーラー任せになっている。クルマの面倒は出来るだけ自分で見たいのだが、学生の頃みたいに何でもかんでも自分でやってみるというわけにも行かない。それに、休みのたびにクルマを整備していたのでは何のためのクルマか判らない。何事も程々にやるのが難しい所だ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年6月 | トップページ | 2011年8月 »