野外用蚊取線香皿
夏場のキャンプや車中泊旅行では蚊に悩まされることが多い。森の中のキャンプ場などでは藪蚊の集中砲火を受けるので、肌の露出している部分には虫除けを塗るが、うっかりテントの中に入られると服の上から刺される。車中泊でも、蚊が一匹車内に入り込んだだけで、安眠は妨げられる。そこで頼りになるのは昔ながらの蚊取線香である。
キャンプの場合はテントサイトの周辺や、テントの入口に複数配置するが、この場合は熊笹の茎をナイフで切って地面に突き立てればいい。そして自分自身にも吊り下げ式線香皿をぶら下げる。車中泊の場合は、車外で一杯やったりしている間、吊り下げ式線香皿で蚊取線香を焚く。車内で寝る時は電池式の蚊取り機を使用するが、それ以外では吊り下げ式蚊取線香皿が大活躍するのである。
最初はホームセンターで買った安い線香皿を使っていた。これは普通に使っている分には何ら問題ないのだが、水気に弱いのが欠点だ。寝る前に線香を消火して、片付けてしまえばいいのだが、外で焚きっぱなしにしておくと夜露を吸ってしまう。雨に当たっても同様である。皿側の構造がグラスウールのフェルトになっており、ここが水気を吸ってしまうと、昼間天日で乾かさないと使えなくなってしまうのだ。
そこで次に買ったのが、皿側も蓋側もガラス繊維の網になっているフマキラー製の線香皿。これは今シーズン大活躍した。キンチョー製の線香皿も両側網の構造だが、網と皿(蓋)が分離する方式で扱いにくい。フマキラー製のものは網が皿(蓋)から外れない一体型なので、開いた途端に網が転がり出すようなトラブルが無く使いやすい。勿論、網とはいえ雨に当たったり水没したりすれば駄目だが、夜露で使用不能になったりはしない。大変使いやすかったのだが、ヤニが溜まって開閉がしづらくなるので何度か水洗いしている内に、繊維が緩んできたのか網が弛んできてしまった。それほどの使用頻度ではないが、一シーズン程度しか持たないようである。
そして遂に発見した究極の野外用蚊取線香皿。児玉兄弟商会の携帯防虫器。まず作りが堅牢で、目立つ朱色の塗装が、実用一点張りで良い。そして画期的なのが蚊取線香を保持する方法が、皿側と蓋側に放射状に配置された鋸刃状の金具で押さえるようになっている。これならば例え水没させても、水を切って新しい線香を乗せれば即座に使えそうだ。更に、蓋側のスリットが吊り下げた時に下向きに開いている構造になっており、雨が降っても飛沫が中に入りにくい。そして、おまけとしては、皿の背中にタッパーウェアのような蓋が付いており、予備の線香一枚(二本)が収納出来るので、一日程度なら予備の線香を別に持ち歩かなくても大丈夫だ。
パッケージには同社の防虫香、森林香、パワー森林香専用と明記されている。この森林香とパワー森林香は一般的な蚊取線香より随分太いので若干不安だった。しかし、買い置きの安物の蚊取線香で試してみると、何ら問題なく最後まで焚く事が出来た。
本体は全て金属製なので、面倒なヤニ掃除も簡単に出来そうだ。
丈夫で、雨や夜露に強く、手入れが簡単で、予備線香を収納出来る。たかが吊り下げ線香皿で千円を超えるのは高価い気もするが、これだけ考えて作られているなら納得である。今シーズンはもう出番は無さそうだが、来夏の活躍が期待される。
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