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2012年3月12日 (月)

アウトドア用カセットボンベ

 キャンプや釣りに行く時、熱源としてガス器具を持って行く。アウトドア用にはお椀を伏せたような形のボンベ(OD缶)を使う人が多いようだが、私は全てのガス器具を殺虫剤型のボンベ(CB缶)に統一している。OD缶の方がアウトドアっぽくてカッコいい気がするが、コンビニで買える汎用性と値段の安さでCB缶しか考えられない。源流に釣行する時などは、アルミの角形コッヘル(トランギア製メスティン)にブック型シングルバーナー(新富士バーナー製STG-一〇)を入れて、カセットボンベ一本と一緒にリュックに入れて行き、昼食は即席ラーメンというのが定番である。
 さて、このカセットボンベだが、実際に使うと低温に弱いことを実感する。経験的に気温が十度を下回る秋冬のキャンプでは、ガスの出力不足に悩まされることが多い。そこで、どのカセットボンベを選ぶかという問題になるのだが、基本アウトドア専用のOD缶に比べ、CB缶はピンキリで選択肢が多いのである。

 にわか勉強でネットなどで調べると、カセットガスの成分は三種類であることが判る。

ブタン(ノルマルブタン)/沸点マイナス〇、五度
イソブタン/沸点マイナス十一、七度
プロパン/沸点マイナス四十二度

 沸点以下の温度ではガスが気化しないので、ブタンだけのボンベは氷点下では使い物にならない。しかし、沸点以上の気温でも、使っている内に気化熱で温度が下がってくるため、段々出力が落ちてくるのである。イソブタンの割合を多くして寒冷地対応を標榜するカセットボンベも幾つかある。なお、プロパンは低温でも気化するが、蒸気圧が高い(二十度で八五一三ヘクトパスカル、大気圧の八倍強。ブタンは二二一三、イソブタンは三一一三ヘクトパスカル)ので、JIS規格でカセットボンベへの混合割合は五パーセント以下に規制されているそうだ。
 今まで何種類ものカセットボンベを使ったが、性能比較をしたことがなかったので、暖かくなる前に長野の山中で性能比較実験をやってみた。気温マイナス二度くらいの環境に暫く放置したカセットボンベがどの程度使えるかを比較してみた。実験に用いたカセットボンベは次の九種類。

一、アイボンベ(販売/アイシステムネットワーク、充填/太陽産業、韓国製、ブタン一〇〇%(推定))
二、トーホー・ジョイック(販売・充填/東邦金属工業、日本製、ブタン七二%、イソブタン二八%(推定))
三、トーホー・ゴールド(販売/東邦金属工業、充填/太陽産業、韓国製、ブタン二五%、イソブタン七五%(推定))
四、ST-700(販売/新富士バーナー、充填/東邦金属工業、ブタン一〇〇%(推定))
五、ST-760(販売/新富士バーナー、充填/東邦金属工業、ブタン七〇%、プロパン三〇%(推定))
六、イワタニ・カセットガス(販売・充填/岩谷産業、、日本製、ブタン七〇%、イソブタン三〇%(推定))
七、イワタニ・パワーゴールド(販売・充填/岩谷産業、、日本製、ブタン三〇%、イソブタン七〇%(推定))
八、ユニフレーム・レギュラーガス(販売/ユニフレーム、充填/東邦金属工業、ブタン七〇%、イソブタン二八%、プロパン二%)
九、ユニフレーム・プレミアムガス(販売/ユニフレーム、充填/小池化学、イソブタン九五%、プロパン五%)

 一~三、六は家庭用でホームセンターなどで売っている。中でも六は定番中の定番で、コンビニで売っているのは殆どこれ。それ以外はアウトドア用品店などで扱っている。成分の比率はメーカーが公表していないものが多いので、ネット上の情報などから信頼できそうなものを推定値とした。
 これらのカセットボンベをトーチバーナー(イワタニ)に取り付けて、出力最大にして暫く様子を見てみた。

 結論を言うと、やはりブタン一〇〇パーセントの一と四は最初から火力が弱く、数秒で炎がしょんぼりしてきてしまう。イソブタンが二三割含まれる二、六、八は火力が強いが、何故か二だけは二十秒程度で火力が落ちてきてしまった。寒冷地対応の三、五、七、九はいずれも火力が強く申し分がない。もっとも、最後まで使い切って見たわけではないので、配合比率の差が、最後の粘りにどれほど影響があるかまでは試すことができなかった。
 アウトドア用ガス器具の中には炎の熱をガスボンベに伝える機構(ブースター)を備えているものがある。これは、気化熱による温度低下で出力が下がる現象を防いでくれる。この機構があると、低温下でブタンとイソブタンの混合ガスを使う場合、最初はイソブタンだけが気化していても、ボンベが暖まることによりブタンも気化するようになるので出力低下が起こらない。逆にこれがない器具では、混合ガスのうちイソブタンだけが気化し尽くし、ブタンだけが気化せずに残ってしまう。このような器具の特性とガスの特性を理解した上で、適切な組み合わせで使う事が大切だと思う。

 この実験で私が得た結論。
一、温暖地では何を使っても同じ。
二、寒冷地でブースター無しの器具になら、三がコストパフォーマンスでベスト。
三、寒冷地でブースターありの器具になら、三か六。
四、極寒地でブースターありの器具になら、五か九。
五、極寒地でブースター無しの器具は使えない。

 冬山登山をするわけではないので、ダイエーで三本四四八円で手に入るトーホー・ゴールドがコストパフォーマンスでベストである。この値段であれば、若干オーバースペックな夏場に使っても惜しくはない。基本夏冬通しでこれに統一し、夏の源流釣行用にショート缶タイプ(トーホーかイワタニ)をするのが、自分としてはベストチョイスであろうかと思う。

Photo
実験の様子(トーホー・ゴールドテスト中)

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