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2012年7月13日 (金)

春だドリフだ全員集合

春だドリフだ全員集合(一九七一年 松竹)

松竹ホームビデオ

 ドリフターズの映画は全部で二十一作あるが、製作年代が一九六七年から一九七五年までなので、一九七〇年生まれの私は一本も劇場で観たことはない。十年ほど前に東宝製作の五本はテレビで放映されたが、松竹製作の十六本は手つかずだった。もっとも、私はドリフのコントが好きなのであって、脚本家が別にいる映画についてはさほど興味がなかったというのが本音である。
 今回は今更VHSビデオを購入して鑑賞した。理由は簡単で、この映画はいかりや長介が売れない噺家という設定のため、師匠として三遊亭圓生、その他柳家小さん、入船亭扇橋、桂伸治(十代目文治)などの噺家が出演しているのである。
 物語は万年二つ目の噺家なまず家源五郎(いかりや)を中心としたドタバタ劇で、粗筋は省略するが、お手軽映画にしては伏線が活きていたり、ちょい役で当時の人気スターが何人も出ていたりで結構面白い。期待した噺家の出演シーンはそれほど多くないが、師匠役の圓生の名脇役ぶりが光る。圓生は舞台やテレビドラマなどにも出ていたようだが、小さんや伸治と違い、素人出演者をフォローする役回りになっている。また、寄席の舞台袖の場面では寄席囃子の名人橘つや師が、斜め後ろからちらりと映るのが貴重である。

 落語ファンにとって、この映画の最大の興味は、圓生の脱退宣言の場面であろう。この映画の七年後に実際に起こる、落語協会分裂騒動の予言だなどといわれているシーンだが、実際にはちょっと違う。いや、逆と言っていいだろう。(ここからネタバレ)いかりや達が紛れ込んで大騒ぎになっている宴会の隣室で、落語連盟の幹部(圓生、小さん、伸治ともう一人)が真打昇進の選考会議をしている。全会一致の数名の他に、圓生は自分の弟子の碇亭長楽(なまず家源五郎から改名)を加えるよう頼んでいる。話が纏まった頃に隣の座敷で爆発が起こり、芸者の扮装をした長楽が飛び込んでくる。それが長楽だと気づいた圓生は呆れ返り、「長楽の真打昇進は御破算です。私は落語連盟を辞めます」と詫びる。弟子のダメさに呆れて、お詫びのために辞めるというのがこの映画の筋で、会長の方針と相容れないから脱退するという、実際の事件とはかなり異なるのである。

 ドリフの映画は他にもたくさんあるが、他の作品はわざわざ購入してまで観ようとは思っていない。レンタルDVDで出してくれればいいのに。それにしても、この映画の題名は何とかならないのか。ドリフの映画は殆どこんな命名で、内容と無関係なものが多い。これでは何作も観ていると、題名と内容が一致しなくなるだろう。全員集合シリーズならば、せめて「落語の修行だ全員集合」くらいにしてもいいのではないか。内容に春を感じさせる場面は、強いて言えば学生が引っ越してくる所くらいしかなかったと思う。

 VHSプレイヤーが何時臨終を迎えるか知れないので、DVDに焼いておこうと思ったのだが、コピーガード信号が入っているらしくて録画出来なかった。残念だが、何本か持っているコピーガードのかかった市販VHSソフトは、プレイヤーが死ぬと一生お蔵入りにするしかないようである。何だか釈然としないが、仕方ないのだろう。

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