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2012年10月20日 (土)

やっぱりヴァグナーが苦手

NHK交響楽団第一七三七回定期公演

ヴァグナー/言葉の無い「リング」(マゼール編)

管絃楽/NHK交響楽団
指揮/ロリン・マゼール

二〇一二年一〇月一九日 NHKホール

 八十二歳にしてN響初登場のロリン・マゼールを、マゼール自身が編んだニーベルングの指輪の管絃楽版で聴く。マゼールの実演は何と一九八三年(ヴィーン・フィル)以来。特に好きな指揮者ではないが、時々ド変態演奏をする人なので、N響をどんな風に鳴らすか楽しみだ。

 舞台上のN響は絃が(恐らく)十八、十六、十四、十二、十二の大編成で驚く。そのせいか、低音が分厚い音色でよく鳴っている。マゼールは本当の天才で、ヴィーン・フィルでも子供扱いらしいので、N響を手玉に取るなどたやすいのだろう。曲は七十数分で切れ目無く演奏されるので、管絃楽組曲ではなく交響詩に近い。ヴァグナーが書いた以外の音をほぼ加えていないということで、耳慣れた曲が次々と現れるのに繋ぎの部分が不自然になっていないのは立派だ。曲も良く編まれており、N響も好演ということなのだが、残念ながらちっとも感動しなかった。理由は簡単。私はヴァグナーの音楽が好きでないのだ。前から苦手意識は持っていたが、リングをあらすじみたいに纏めてくれれば流石に楽しめるだろうと思って聴きに行ったのだが、結果はどうにも退屈だった。ブルックナーやシベリウスほどではないが、ヴァグナーの音楽には心から共感出来ない。部分的に格好いいなあとか、いい旋律だなあとか思うのだが、心に響かないのである。もう今後はヴァグナーを聴こうと努力するのはやめようと思う。私ももう若くはないので、気に入った曲だけを聴いていたいと思う。
 誤解の無いように申し添えるが、感動しなかったというのは私がヴァグナーを苦手なだけで、マゼールもN響も素晴らしい演奏をしてくれたと思う。Aプロを聴きに行けばよかった。

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2012年10月19日 (金)

ヤマカズ生誕百年

 今日十月十九日は指揮者・作曲家山田一雄(以下ヤマカズ)の百歳の誕生日である。ついこの間亡くなったような気がするが、一九九一年八月十三日に亡くなったので、もう二十一年も経ってしまった。大型免許を取るための合宿中で、何気なくつけたFMラジオから「今日は予定を変更して、今日亡くなった山田一雄さんの演奏をお聴きいただいて……」と聞いた時の衝撃を、今でもリアルに思い出してしまう。
 さて、嬉しいことにここ数年のヤマカズ・ルネッサンスの動きは少しづつ進んでおり、ここ暫くの間にCDがまた何枚か発売(再発を含む)された。

山田一雄の世界(ナクソス) 読売日響
 追悼盤として学研から発売された「山田一雄の世界」からペール・ギュントの四曲を外し、アルルの女の三曲を加えた内容。ファランドール以外のアルルの女から三曲が初CD化。一九七〇年代から八〇年代にかけてのスタジオ録音で、当時盛んに行われた、学習教材用の収録。なので、演奏は特筆すべき事はない手堅い演奏だ。学研にはかなりの数の録音が残されているはずであり、小出しにしないでまとめて出してくれたらいいのにと思う。

ブラームス/交響曲第二番(タワーレコード) 新日本フィル
 別項で詳述したので省略。

モーツァルトの夕べ(タワーレコード) 新日本フィル
 上記ブラ二や藤沢の千人と同じく、藤沢市民会館「山田一雄の世界」一九七八~七九年からの実況録音。「偽の女庭師」序曲、セレナータ・ノットゥルナ、グラン・パルティータの三曲が収録されているが、何故かグラン・パルティータの第二楽章が収録されておらず、元々省略して演奏されたのか、演奏はされたのだが録音に支障があって収録できないのか不明。演奏は少々荒っぽい所もあるが、ピリオド奏法などという下らないものが蔓延する前は、モーツァルトはこんなに楽しい音楽だったのだということを再認識させる演奏。とにかく聴いていて楽しく、幸せになれる演奏だ。録音もブラ二と違ってちゃんとしたステレオで収録されているので安心して聴ける。

レスピーギ/ローマの三部作(東武トレーディング) 東京都響
 生誕百年の目玉CD。一九八九年三月、サントリーホールでの録音。今までローマの松は新星日響との録音(一九八九年)がCD化されているが、都響との三部作揃は初出。ヤマカズにぴったりな音楽だが、期待を上回る名演。ローマの噴水の冒頭から、何とも言えない雰囲気が拡がる。曲が進むにつれてオーケストラも客席も暖まっていく様子が手に取るように感じられ、ローマの祭の最後などは息もつけないような迫力。まさにライヴの醍醐味を感じさせる。これぞヤマカズの実演である。出来ればこのCDは三曲続けて(順番に)聴いてもらいたい。サントリーホールの初期の録音にしては録音状態も良く、私にとってはローマの三部作のCDはこれ一枚あれば他は必要なくなってしまった。よくぞ、このような素晴らしい録音を発掘してくれたものだ。

 ヤマカズの話題になる度に同じ事ばかり書いて申し訳ないが、どうか新響とのマーラー全集をCD化してもらえないものだろうか。録音に不備のある曲もあるのは承知の上で、日本でのマーラー、否オーケストラの演奏史に残る事件を、是非聴ける形で後世に残して欲しいものだ。

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