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2012年11月30日 (金)

嬉野観光秘宝館

 九州へ行った本当の理由はこれである。ついでに立ち寄った体にはしているが。
 秘宝館は今や絶滅寸前。ここ数年で北海道、鳥羽、別府の秘宝館が次々と閉館してしまい、今や本格的な秘宝館は鬼怒川、熱海、嬉野の三ヶ所だけになってしまった。その中でも最大の規模といわれる嬉野観光秘宝館は数年前から閉館の噂が絶えない。「いつかそのうち」と思っていては間に合わない可能性が高いので、今のうちに足を運んだのである。十一月二十四日土曜日、夜明けとともに神崎鼻を観光した後、朝九時の開館に合わせて嬉野観光秘宝館を訪れる。
 千五百円の入館料を払って入場する。二階建ての建物に様々なアトラクションが用意されている。主な物を順番に挙げると、「蝋人形の説明」「金精様コーナー」「ながさきオチンチ祭り*」「浮世絵&道祖神研究コーナー」「張型、人形コーナー」「ビバシネマワールド(スーハーマン*、アラビアのエロレンス*、マリリン・モンロー、ブルース・リーの燃えよマラゴン*)」「ナンバンショーのナンバンさん*」「有明夫人*」「鍋島化猫騒動*」「嬉野茶摘み娘*」「のぞくべからず」「ホギホギ神社」「二つの扉*」「風流廻り舞台*」「有明の恋人*」「ラブハンター(射的)*」「ハーレム*」(*は電動のアトラクション)と続いている。残念ながら館内は撮影禁止のため、記憶を頼りに印象に残った物を挙げる。
 「ながさきオチンチ祭り」は最初の電動アトラクションで、部屋に入ると通路の左右でまぐわう人形が回転し始めるが、部屋全体の天井部分で龍が張型を追いかけてグルグル回るという仕掛けがあり、ここが長崎おくんち祭りのパロディーになっているようだ。
 「ビバシネマワールド」のスーハーマンは故障しており動かない。アラビアのエロレンスは駱駝の上でまぐわう男女の人形だが、月の兎や沙漠にうち捨てられた骸骨もつられてまぐわっているという趣向だ。残念ながら骸骨は故障して動かない。これが動けば相当面白いはずだ。マリリン・モンローは熱海にもあるハンドルを回すと風が吹いてスカートが捲れ上がるという仕掛け。ブルースリーはボタンを押すとズボンがずり落ちて、かわいい御子息がコンニチハという他愛ない物だ。
 「ナンバンショー」は北海道秘宝館にもあった黒ん坊が踊る物だが、回転台以外の電動機構が故障しており、ナンバンさんは踊らないし、御子息も寝たきりである。
 「有明夫人」は傑作。裸婦が向こう向きに立っており、ボタンを押すと一回転するのだが、丁度正面を向くタイミングでムツゴロウの群れが現れ核心部分を遮るという趣向。この、エロと笑いと地域色の三位一体こそが秘宝館の王道だ。タイトルを有明夫人にして目隠しをムツゴロウにした製作者のセンスに脱帽である。
 「鍋島化猫騒動」も郷土ネタ。障子が開閉して人形が現れた後は、障子に影が映るだけ。もっと何か動きがあるのに故障しているのかも知れない。
 「嬉野茶摘み娘」はガラス窓から覗いてボタンを押すと水が飛んでくる趣向。
 「風流廻り舞台」は単に舞台の廻り舞台のミニチュアで、暗転で体位が変わるという物。
 「有明の恋人」は砂浜で寝そべっている人形の腰に掛けたタオルをイタズラ蟹が捲るという趣向だが、故障して動かないのが残念。確か熱海にも同じようなものがあった。
 そしてこの秘宝館の白眉が「ハーレム」。吹き抜けの大広間に設置された大きなアトラクションで、宮殿のようなセットに池と噴水、色とりどりの照明、それに十五体の人形が配置され、数分間のハーレムの情景が現れる。残念ながらここも一部の機構、噴水、照明が故障しており完全とは言えない。しかし、眺めている内にそれらの不足分は脳内補正が利くようになり、製作者のイメージを受け止めることが出来る。この数分間を見られただけでもわざわざ九州まで来て千五百円の入館料を払った価値はあると思う。
 その他、誰々先生の道祖神研究のコーナーなどは真面目で見応えがあり、浮世絵その他を合わせれば、じっくり見て回るのに半日くらいかかるかも知れない。ただ、春画の類が局部を塗りつぶして展示されているのは残念であるが。
 他の秘宝館も同様だが、明日閉鎖されてもおかしくない状況なので、興味のある方は是非今のうちに訪れたい施設だ。東京から始発の新幹線に乗れば日帰りも可能で、交通費と入館料合わせても五万円でお釣りが来る。躊躇している場合ではない。

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