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2013年1月14日 (月)

ジンマンの夜の歌

NHK交響楽団第一七四五回定期公演

マーラー/交響曲第七番ホ短調「夜の歌」

管絃楽/NHK交響楽団
指揮/デーヴィッド・ジンマン

二〇一三年一月十一日 NHKホール

 N響のC定期が十二月デュトワのローマ三部作、二月メルクルのダフニスとクロエと大変魅力的なのでシーズン会員になった。真ん中の一月はジンマン指揮でマーラーの夜の歌。ジンマンはトーンハレ管を振ったベートーヴェンの交響曲全集が大変面白かったが、ベーレンライター版と、薄い編成にノンヴィブラートの新鮮さと珍奇な装飾音の付加に目くらましを食らった感じで、指揮者に感心したわけではなかった。なので今回は期待値ゼロで臨む。
 夜の歌は、自称マーラーマニアの私でも余程体調が良くないと聴き通すのが辛い程のまとまりのない曲だ。マーラーの分裂気質が最高潮で、第一楽章は統一感のない音楽が切り貼り的に現れて付き合いにくい。中間の三つの楽章はまあ聴けるが、終楽章のお祭り騒ぎにはどう付き合っていいものか。最初よく解らないけど深刻な話をしていた人が、段々と穏やかな話をしていると思ったら、突然腹踊りを始めたようで、どう対応していいのか判らないのだ。なので、酔っぱらった勢いで没入するくらいの聴き方がいいと思うが、録音ならともかく、生演奏ではそうもいかない。
 愛聴盤は超スローで圧倒されるクレンペラー、超高速で駆け抜けるシェルヘン、尋常でなく没入するバーンスタインの新盤、バーンスタインの域まで到達出来なかった分終楽章をカットしたコバケン/日本フィルの四種。曲の完成度を補うために変態系の演奏に偏るのは仕方ないだろう。

 演奏が始まって直ぐに「これはハズレ」と直感。テノールホルンのソロがいきなり音を外す。明らかに集中力不足だ。ジンマンは思い切ったことは何もしないし、N響も完全お仕事モード。変なテンポでもないのに縦の線が揃わないのは、合わせる気が無いとしか思えない。トランペットはしょっちゅうひっくり返るし、ティンパニは妙な音程(楽譜で検証していないので、もしかすると楽譜通りの音か?)で叩くし、八十年代の新星日響だってもっと上手かった。始まって五分もすると集中力が途切れ、後はひたすら我慢。時々トランペットがひっくり返って我に返るという状態であった。N響は昔に比べると、やる気の無さを前面に出さなくなったが、今回は全くやる気ゼロ。昔の地方公演みたいな演奏だった。
 それにしても、最近N響を聴きに行くたびに思うのだが、トランペットがひっくり返るのは何とかならないのか。難所で必ず遭難する喇叭がいると、今回のような駄演はともかく、せっかくの好演も画竜点睛を欠く印象が残り残念な気がする。

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