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2013年9月23日 (月)

N響第一七六一回定期公演

NHK交響楽団第一七六一回定期公演

ブラームス/交響曲第二番ニ長調作品七十三
ブラームス/交響曲第三番へ長調作品九十

管絃楽/NHK交響楽団
指揮/ヘルベルト・ブロムシュテット

二〇一三年九月二十二日NHKホール

 九月のN響定期はブロムシュテットがブラームスの交響曲を全部振るという。B定期(サントリーホール)で一回券の取れない一番と、苦手な四番はいいから、二番三番のC定期を聴きに行く。一日目の土曜日に行きたかったのだが色々あって、半休を取って日曜のA定期二日目を聴く。

 まずプログラムを読んで、ブロムシュテットが八十六才だと云うことに驚く。毎年N響に客演しており、特に興味もなかったが、いつの間にか長老になっていたのだ。調べてみると、二十二年前に同じN響でマーラーの九番を聴いているが、確か対向配置で演奏していた以外に記憶はない。今回もオケは対向配置で、通常だと十六ー十四ー十二ー十ー八という絃の人数だが、第二ヴァイオリンを十六に増やしているのは対向配置故の配慮だろうか。ステージに現れたブロムシュテットは二十余年前より少し猫背にはなったが、八十代とは思えない矍鑠ぶり。

 交響曲第二番はすばらしい出来。どこをどうしたとか具体的な指摘は何も出来ない。それくらい一見何もしていないような演奏だが、幾らでも雄弁に奏でられる曲を淡々と進めていく。生半可な指揮者がやるとごくつまらない演奏になるのだが、オーケストラが指揮者を信頼しきっているからだろう。淡々としているのにオーケストラの音が厚く感じられるのだ。老騎手ブロムシュテットは、ずっとオーケストラを抑えろ抑えろと制御しつつ曲を進めていくが、終楽章のコーダで手綱を緩め、馬の尻をポンと軽く叩く。すると待ってましたとばかりにオーケストラは走り出す。N響がこんなに楽しそうに演奏しているのを見たことがない。実力のあるオーケストラが、乗るとどれほどすごい演奏をするかが、この終楽章の最後に凝縮されていたと思う。

 交響曲第三番も同傾向の演奏だが、最後に手綱を緩める部分がない分、二番よりは聴き劣りがする。最後が静かに終わるので仕方がないのだが、なぜこの曲順なのかと疑問が湧く。恐らくBAC定期の順に一番から順番に演奏したかったのではないかと思うが、この演奏会単体では三番二番の順序の方がよかった。それでも、滅多に安心して聴けない第三楽章のホルンソロなどは安定感抜群でN響の実力を実感したし、指揮者が手を下ろしてから盛大な拍手を送るN響の客層の良さ(NHKホールはほぼ満席だった)に感心した。

 私は真のブラームス好きからは際物だと笑われるような個性的な演奏が好きだ。ブラームスに限らず指揮者の個性が見えない演奏に価値を見いだせないのだ。今回のブロムシュテットの演奏は、ブラインドで聴いたら誰の演奏だか全く判らないだろう。しかし、聴き終わった後の充実感は素晴らしく、いい演奏に立ち会えたという喜びが大きかった。私も幾らかブラームスの本質が見えてきたのか。よく、ブラームスは中年以降の男性じゃないと本質が判らないというが、私もようやくその域に達してきたのだろう。大人げない言動などは慎まねばなるまい。

 一つだけ気に入らなかったのは両曲とも第一楽章の提示部を反復していたこと。無理矢理繋げた感満載の二番、唐突に戻る感じの三番とも繰り返しは不要だ。というより、一部の例外を除き提示部の反復は必要ないと思う。同じ所を二度演奏しないで、さっさと先へ進んでもらいたいと、繰り返されるたびに感じるのである。

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