« 関門トンネル人道 | トップページ | 庄川大仏 »

2013年11月25日 (月)

ニコイ大滝

ニコイ大滝

 まとまった休暇が取れたので、ちょっと遠出をして珍スポットを巡ってきた。
 私はここ数年、どこへ出かけるにもガーミン社のハンディGPSを持ち歩いている。このGPSMAP六〇CSxには日本全国の地図が収納されており、GPSのログを保存出来るほかに、特定の地点(ウェイポイント)を登録出来る。毎年六月になると鮎釣り用の囮屋リストを登録し、十月になると珍スポットリストを登録している。今回は当初目標は二箇所くらいあったのだが、後は適当にGPSの画面に現れた珍スポットを適当に探訪するという方針にしてみた。

 まず向かったのが岐阜県のニコイ大滝。何故ニコイ大滝なのかと言えば、天候次第では、この夏二回空振りしている能登の舳倉島へ渡れないかという下心があったのだ。しかし、日本海には低気圧が居座って、波の予想は四メートル。到底船は出そうにないのでニコイ大滝を目指す。

 ニコイ大滝は落差百メートル以上で、岐阜県内最大の滝と言われているが、日本の滝百選などには含まれていない。ネットの情報などによれば昭和後期にリゾート開発計画が頓挫して、そのまま廃墟化して立入禁止になっているのだという。滝の目の前にはコンクリート製の観瀑橋があるらしいが、これがかなり老朽化しているらしく、訪問者は一様に何時崩落してもおかしくないと言っている。

 国道三六〇号線の巣之内集落から池ヶ原湿原方面への林道に入る。痛んでいるが完全舗装の林道で、所々に現れる沢を渡る橋が単線並列で架かっているのがただの林道でなかった事を物語っている。種蔵集落を越えて暫く進むと「青少年旅行村みやがわ配置図」という案内板が現れる。現在は山林に還っているが、かつてはバンガローやテントサイト、炊事場などが点在していたようだ。事前の情報通りこの案内板に惑わされずに先へ進む。GPSには林道から滝へのアプローチルートの入口にウェイポイントを打ってある。つづら折れを暫く進んだ右カーブの外側がアプローチルートの入口。目印とされている立入禁止の看板が見あたらないが、足元に裏返しになって落ちていた。
 クルマを駐めてハイキングルートのような道を進む。斜面の樹木の根元がみな「し」の字型に曲がっているのが豪雪地帯であることを物語っている。ここにリゾートを開発しても稼働出来るのは六~十月程度で、雪解け後のメンテナンス費用が莫大になるだろう。暫く進んで地形が険しくなると滝の水音が聞こえるようになり、小さな尾根を越えるとコンクリート製の歩道が現れその先にコンクリート製の観瀑橋が見える。歩道も橋も手すり部分の損傷が激しいようだが、これは豪雪地かつ傾斜地なので、落石や倒木によるダメージであろう。私の感覚ではコンクリート橋自体はそれほど心配することはなく、雪の重みや落石倒木等で崩落することはあっても、人間が一人二人乗ったところで驚きはしないだろう。おっと、肝心のニコイ大滝だが水量も豊富で見応え十分。橋が滝に近すぎて見えるのは上半分くらいだが、それでも迫力十分だ。たまたま紅葉時期で、かつ午後の日差しを順光で受けて、滝の飛沫に虹が架かるという絶好のタイミングで観ることが出来た。素晴らしい滝である。

 橋を渡りきるとコンクリート製のトンネルが現れる。事前知識があるので、ヘッドランプを装着してトンネルに入る。これがニコイトンネルで、長さ百三十四メートル、高低差三十メートルという急な登り勾配である。少し進むと内部は岩盤を素掘りにしたトンネルで、足元は舗装されたり階段になっているが、泥や砂利が堆積しており歩きにくい。トンネル内の照明設備だったらしい電線やソケットなども散乱している。トンネルを抜けると滝上部の沢の左岸に出て、手すりの倒れたコンクリート橋で対岸に渡ることが出来る。対岸にあるのがニコイ鍾乳洞であるらしい。入口は倉庫のようなトタンの扉があり、何故か火気厳禁という赤い札が貼ってある。中を除くとスチール製の書類棚のようなものが投棄されていて、その先は一段高くなっている。スチール棚に足をかけて一段高い部分に登ろうとするが、一面にコウモリの糞らしきものが散乱しており異臭がする。滑らないよう注意して登ると狭い洞窟が幾つか枝分かれしているようだ。幸か不幸かコウモリは冬眠に入ってしまったようで姿はないが、これ以上深入りするには本格的なケイビングの装備が必要だろう。まあ、ここまで来れば十分と納得して引き返す。

 帰路、先程の「青少年旅行村みやがわ配置図」から右に分岐する道に入ってみる。ニコイ大滝の全景が観られるところがあるのではないかと思ったのだ。しかし道はすぐに行き止まって、巨大な砂防堰堤が正面に現れる。左岸側にスロープのような構造物があるので、道かと思って近づいてみると巨大な階段式魚道であった。現在も水は流れているが半ば土砂で埋まっており水深が無い。これでは魚は遡上出来るが、鳥や獣に狙われ放題で隠れ場所がない。第一、すぐ下流には何段もの段差があり、魚道など無く、魚が最も遡上しにくいカーテン状の流れになっている箇所が幾つもある。典型的な無駄な施設である。
 更に林道を下って種蔵集落で分岐して菅沼谷の左岸を遡る林道に入ってみようとするが、こちらは入口が封鎖されており進入不可であった。ニコイ大滝のレポートに滝の全景を写した写真が無いのは、全景を眺められる地点が無いからのようだ。せっかく県下最大の滝があるのだから、林道と滝を見上げられる場所を多少整備すれば観光資源にならないだろうか。いずれ橋が崩落すれば本当に垣間見ることも出来ない幻の滝になってしまい、勿体ない気がするのだが。

131119
(観瀑橋からニコイ大滝、虹が出ている)

|

« 関門トンネル人道 | トップページ | 庄川大仏 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 関門トンネル人道 | トップページ | 庄川大仏 »