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2013年12月 4日 (水)

子安大師

 愛知県蒲郡市の三谷温泉に弘法山という標高九十六、六メートルの山があり、金剛寺という寺がある。山の頂に巨大な弘法大師の立像が立っており、金剛寺のウェブサイトによれば、身長十九メートル、台座が高さ七メートル、手に持った杖を含めた全高が三十メートル。鉄筋コンクリート製で一九三八年に開眼している。
 立像の巨大仏といえば観音像が多いが、コンクリート立像の嚆矢である高崎百位観音(一九三六年建立)を始めとして観音像が多い。これは白衣の裾が地に着く造形になるので、構造的に安定するからであろう。ところが、この弘法大師像を見てまず驚いた。衣の裾からにょっきりと二本の足が出て、しっかりと地面を踏みしめているのだ。巨大なコンクリート像を細い足二本とさらに細い杖の三点で支えているのだ。このような構造で、海に面した山の上に七十五年も立ち続けているというのは驚きである。近づいて見上げてみると、常福寺の大仏同様、コンクリートの打ちっ放しではなく表面を塗装して仕上げている。この塗装が雨や潮風を防いでいるのだろう。見た感じ亀裂などもなく、非常に良いコンディションのようだ。戦前のコンクリートが高品質なのも要因だろう。私が通っていた高校は一九三八年建設の校舎を、在学中の一九八八年に解体したが、解体工事を見ていると崩されたコンクリートの中からぴかぴか光る鉄筋が出てきた。多摩川の川砂利で練ったコンクリートは、五十年経ってもびくともしない堅牢さであった。戦後高度成長期以降の海砂を使ったコンクリートではこうはいくまい。

 大師像のすぐ前にはラバーズヒルという展望台がある。元はロープウェイの乗り場だったらしいが、現在は展望台と幸せの鐘がある。名前からして近寄りたくないが、朝で人気がないのでちょっと覗いてみる。展望台の柵にピンク色のハート型プレートの付いた南京錠が無数にぶら下がっている。あちこちで見かける願掛けで、まあ健全で微笑ましいと言えるだろう。ここから臨む蒲郡港と竹島、大島の眺望はすばらしく、蒲郡名代の大聖寺大秘殿のと銀色のドームも目の前に見える。ラバーズヒルという名前でなければ、もうしばらく景色を眺めていたいと思った。
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