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2013年12月 5日 (木)

大聖寺大秘殿

 蒲郡の三谷温泉は、今では随分寂れてしまっているが、かつては殷賑を極めた観光地だったようだ。子安大師のある弘法山には遊園地があり、大秘殿のある乃木山(乃木大将の像がある)との間に市営のロープウェイが一九五八年に開業し一九七五年まで運行されていた(一九七〇年に名鉄に譲渡)らしい。そのロープウェイの弘法山側の駅がラバーズヒル、乃木山側の駅とプラネタリウムが大聖山大秘殿になっているのだ。
 延命山大聖寺はパンフレットによると食中毒封じの寺であり、料理の神様であるという。大秘殿は建物内に造られた人工の洞窟で十界巡りができるらしい。到着したのが十時前と少々早かったので、受付で拝観料千円を納めると、おばさんが入り口のシャッターを開けてくれる。大人一人が通れる広さの通路が迷路のように続いているが、枝道はないので迷うことはない。洞窟の壁面には様々な仏画が描かれ、数メートルおきに仏像などが安置されている。パンフレットによれば洞内延長三百メートル、仏像数百体、仏画百点余があるという。とにかく仏像の点数が多い上に、仏画がなかなか立派なものなので、一つ一つじっくり見ていたら一日かかってしまいそうだ。ちょっと広くなって金色のリアルな観音像のある場所では天井のスピーカーからずっと人の声が流れている。テープが劣化しているらしく聴き取りにくいが、住職による解説と、住職がラジオ(テレビ?)番組に出演した際の音声のようだ。真面目な仏像だけでなく、地獄巡り的な怖い人形や、妙に肉感的な像や、お約束の男根の林立などもあり、変化があって飽きない。このレイアウトの妙がすばらしい。そして洞窟の最後は大きな広間になっており、沢山の石仏、壁面や柱には不思議な壁画、様々な体位でまぐわう男女の姿を彫った石碑などが所狭しと並べられている。ここの迫力は圧巻で、感動的ですらある。よくこれだけのものを集めたものだ。
 洞窟を出ると本堂を抜けて、その先には縦十メートル横八メートルの料理の神、磐鹿六雁命の絵がある。妙に漫画的な絵で右手に大ハマグリ、左手に鰹を抱えているが、その手前に鴨が顔を出しているのが面白い。さらに進むと宝物展示になるが、ここはよくあるオレちゃん博物館で、戦艦陸奥の部材だとか書の掛け軸、仏像などが雑多に並べてある。そして壁の上部には歴代総理の肖像画が掲げられている。一番新しいのが竹下登までなのは仕方ないとして、一部未完成の肖像画がある。犬養毅は背景と顔は彩色で服は線だけ、阿部信行と鈴木貫太郎に至っては背景も服もなく、顔だけが白い空間に浮かんでいる。この詰めの甘さがオレちゃん博物館の醍醐味である。宝物展示を抜けると包丁式式場というドーム状の祈祷所である。元はプラネタリウムだったドームの中に神殿があり、大楽乗観世音菩薩が奉られている。これは歴代ダライラマに信仰されたチベット・ラマ教の秘仏で、あらゆる願いを叶えてくれるのだという。私も熱心に生涯楽に暮らせるようお願いしてきた。
 建物を出て屋上に上がってみる。ドームの周りをぐるっと一回りすることが出来るが、弘法山同様に眺望がすばらしい。幸運にも快晴で、蒲郡の町並みから、竹島の向こうに停泊している巨大な自動車運搬船などを眺める。

 これだけの内容で千円の拝観料というのは破格だ。昨年行った嬉野秘宝館と同じレベルの満足感であった。後で調べたところ、この大秘殿と同じかそれ以上の規模を誇る岩戸山風天洞という珍スポットが豊田市の外れにあるらしい。GPSに打ち込んであったのだが、かなり外れたところなので気づかずに素通りしてしまった。大秘殿と同じ住職がやっているらしいので大いに期待出来る。こちらも是非行ってみたいと思う。
Photo
(大聖寺大秘殿 元プラネタリウムのドーム)

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