群馬交響楽団第四九六回定期演奏会
群馬交響楽団第四九六回定期演奏会
二〇一四年一月二十五日(土)群馬音楽センター
マーラー/交響曲第六番イ短調
管絃楽/群馬交響楽団
指揮/沼尻竜典
群響の定期は昨年十月にトゥルノフスキーの「我が祖国」を聴きに行くつもりでいたのだが来日が中止になり、大友直人の代演になったので行くのをやめた。トゥルノフ爺ならチケットを買って高崎まで出向く気になるが、大友なら枕元まで来て演奏してくれるとしても時間の無駄なので遠慮したい。さておき、毎年一曲ペースで続いている沼尻竜典のマーラーを聴きに行く。今回は昨年十一月にインバル/都響で聴いたばかりの六番である。
今回は前から三列目の真ん中。指揮者の背後四メートルくらいの席だ。普段後方の貧民席でばかり聴いているので珍しい。舞台が近いので、絃楽器群の動きがよく判り、管楽器が遠い。普段だと管のトゥッティにかき消されて聞こえない減の動きが判るのが面白い反面、金管楽器の音などは頭の上を抜けていく感じで、舞台に近い割に迫力がない。舞台から音が出ていったきり返ってこない群馬音楽センターの音響の問題でもあるだろう。
沼尻竜典という指揮者は何度かしか聴いたことがないが、印象が薄かった。今回も特にどうという感じもしない平均点の演奏。判りやすい棒でオーケストラは安心して楽しそうに演奏している感じだが、緊迫感のような物は感じられない。曲自体がよく書けている第一から第三楽章は良かったのだが、第四楽章の後半が冗長な印象になってしまった。この曲は二度目のハンマー以降を蛇足な感じを出さずに演奏出来るかが難しく、全体のペース配分と、最後に如何にオケに鞭を入れてラストスパートをかけさせるかが指揮者の腕の見せ所だが、残念ながらそつなくまとめた演奏という印象であった。
中間の二楽章はスケルツォ、アンダンテの順。研究対象としてマーラーの最終意志がどっちの順番だったのかに興味はあるが、アンダンテ、スケルツォの順にはやはり違和感がある。終楽章のハンマーは舞台下手の花道の部分に置いて、大きな箱形の台を叩いていた。これは台が共鳴してゴツっという大迫力の音がして素晴らしいし、振動で事故を誘発しやすい山台の上ではなく、視覚効果も抜群の花道に設置したのは正解だと思う。
群響の定期は土曜の夜公演で、十八時四十五分という開演時刻である。東京方面に帰る人にも配慮した時間設定なのかも知れないが、これだけ週休二日が浸透しているのだから、土曜の昼公演にしてはどうだろうか。私のように東京の僻地から聴きに行く場合、長めの曲目だと八高線の最終の時刻が気になってしまうのである。
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