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2015年1月20日 (火)

チェーン偏愛

 冬になると雪道をクルマで走りたくなる。学生時代にはよくスキーに行って雪道を走ったが、その頃からスタッドレスタイヤを履いていてもチェーンは必ず携行している。いや、冬だけでなく、一年中私のクルマにはチェーンが一組、冬季は二組積まれている。冬は早朝の凍結路面や新雪に対応するため、冬以外は泥濘地や砂地(つまり河川敷に入り込む時)の脱出用と牽引ロープの長さが足らない時の継ぎ足し用に常備している。
 何故だか子供の頃からタイヤチェーンが好きで、免許を取る前から親のクルマにチェーンを巻いて悦に入ったりする変なガキだった。先代のクルマ(トヨタ・スプリンタートレノ)は後輪のタイヤ回りにクリアランスが少なく、四輪全てにチェーンを巻くことが出来なかったが、今のクルマ(スズキ・ジムニーシエラ)は四輪ともチェーンを巻けるので、全輪スタッドレスタイヤ+チェーンという最強の足回りで雪道を走ることが出来る。

 現在所有しているチェーンは三組ある。

・オートバックス/ニューチェーンHG(鉄製、梯子形)
 最もオーソドックスな鉄製梯子形。夏も積んでいるのはこれ。丈夫一式で重いが、ちょっと横着して乾燥路を走ると見る見る減っていく。現在クロスチェーンは表裏とも(減ったのでわざと裏返しに使用した)二分の一から三分の一くらいに摩耗しているのでそろそろ買い換え時期か。ゴツいので乗り心地は悪いが信頼性は一番。

・FECチェーン/雪道楽α2(合金製、梯子形)
 細い合金製の梯子形。鉄のチェーンより圧倒的に減らないのだが、クロスチェーンだけでなくサイドチェーンがとても細いのが気になる。タイヤがロックした状態で滑走して何かに引っかかったら、一発でサイドチェーンが破断しそうな気がする。

・コーニック/ノープロブレムP1マジック(合金製/亀甲形)
 高校の同級生でジムカーナなどをやっていた故なべちー氏が教えてくれたチェーン。曰く、氷上ラリーの連中はみんな使っていて、タイヤの空気を抜いてギチギチに装着して、空気を入れてガッチリタイヤに固定するのだという。クロスチェーンに補強リンクが入っているので摩耗箇所が分散するのも素晴らしいが、独自の機構で取り付けが画期的に簡単だ。亀甲形なので乗り心地も梯子形ほど悪くない。高価なチェーンだが、値段分の価値は十分にあると思う。

 以上三種類のチェーンを使い分けているのだが。基本的に前輪にコーニックの亀甲形、後輪に梯子形を巻く。雪道走行では基本的に後輪駆動のままで、四輪駆動にはしない。四駆のクルマに乗っていて雪道で四駆にしないと言うと奇異に思われるかも知れないが、雪道の四駆は新雪や吹き溜まりに突っ込んだ時の脱出用に温存している。気をつけていてもその手のトラブルには遭遇するので、四駆で無理に進んで動けなくなった時は自力での脱出は絶望だ。二駆で行けないような所には入り込まないのが雪道の鉄則だと思っている。

 世の中はスタッドレスタイヤの性能が良くなったので、雪国に行っても新雪時の路線バスや配送のトラック、除雪車くらいしかチェーンを巻いているのを見ない。しかし、スタッドレスタイヤは新雪や凍結路面ではほぼ無力になるので、冬季に運転するならチェーンは必携だと思う。

 そして、チェーンマニアの私からチェーン初心者の皆さんに助言する。
 まず、チェーンを買ったら必ず取り付けの練習をするべき。箱から出したこともない人が、雪の中で正しく装着出来るとは到底思えない。私の従兄弟のM君は昨年の大雪の時、妹と二人がかりで新品チェーンと半日格闘したが、サイズが合わないので装着出来ないという結論を得て力尽きた。これは事前に巻いてみれば気がつくことだが、それを怠ったために寒い中辛い思いをする羽目になったのだ。兄妹関係が悪化していないことを祈るばかりだ。
 ノープロブレムチェーンなどは片側三十秒程度で装着出来るが、それは練習した上での話。通常の梯子形チェーンでも、サイズが合っていて事前に何度も練習しておけば、ジャッキアップや車輪を動かすことなく装着出来るはずだ。
 次に、チェーンと一緒に携行したいものがある。それはゴム手袋とバケツである。雪の中のチェーン脱着は、泥だらけのタイヤハウスに手を突っ込んで作業するので、軍手などでは役に立たない。アームカバーと一体の長いゴム手袋が欲しい。泥雪の上に膝をついて作業することも多いので、膝カバーがあれば完璧だ。
 そして、チェーンを使って一番厄介なのが使用後の処置。特に鉄チェーンは使ったままケースにしまうと、水分、(融雪剤の)塩分、削れた鉄粉という錆の三要素が揃っているので、翌年ケースを開けると真っ赤な錆の塊になっている事がある。そこで釣具屋で売っている畳める水汲みバケツがあるといい。私は鉄製のチェーンを外すとこのバケツに収納し、なるべく早く用水路でも公園の水道でもいいから真水でジャブジャブ洗って塩分と汚れを落とす。そして助手席の足元に広げて、足元暖房を強めにかけて一気に乾かしてしまう。家で乾かす場合は最後に熱めのお湯につけると、余熱で早く水分が飛ぶ。乾いたら防錆潤滑剤スプレー(5-56など)をたっぷり吹きかけて、古タオルでくるんでケースにしまう。これで次回使用時もピカピカの状態で使えるのである。

 私にノープロブレムチェーンを教えてくれた故なべちー氏も、それ以前にはスタッドレスタイヤがあればチェーンなど不要という考えだったが、ある年スキー場からの帰途、新雪が十センチほど積もった峠道で彼のシルビアが全く登れなくなるトラブルに遭遇。やむを得ず大迂回をして帰った経験からチェーンの有り難みを知って、私に知識を授けてくれたのだった。
 雪国に行かなくても、去年のように東京でも積雪の可能性がある。一年中夏タイヤならば、タイヤチェーンは用意しておくか、雪が積もったら決して運転しないのが運転者の責任だろう。そして街中走行だけでノーマルタイヤに巻くならば、迷わず合金製の亀甲形がいい。高価な樹脂製のチェーンなどは乗り心地はいいかも知れないが、嵩張って手に負えない。安い亀甲形のチェーンの信頼性は判らないが、買い物に行く程度なら安いものでも構わないだろうと思う。

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