バッティストーニの展覧会の絵
東京フィルハーモニー交響楽団第八六八回定期演奏会
ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲
ラフマニノフ/五つの絵画的練習曲(レスピーギ編)
ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」(ラヴェル編)
管絃楽/東京フィルハーモニー交響楽団
指揮/アンドレア・バッティストーニ
二〇一五年九月一〇日 サントリーホール
お気に入りの若手指揮者バッティストーニが来日したので、東フィルの定期を聴きに行く。久々のサントリーホールは八割強くらいの入りだが、バッティストーニの人気が出れば、今後チケットが取りにくくなるのではないか。
一曲目の運命の力から全力投球。緩急のメリハリをはっきり付けて、時に大袈裟と言えるほどの表情を付け、突然テンポを変えたりとやりたい放題。若手はこうでなくちゃ。東フィルはちゃんとチューバでなくチンバッソ(トロンボーンにロータリーを付けた楽器)を使っていた。
ラフマニノフは初めて聴く曲なので何とも言えないが、レスピーギらしい色彩的なオーケストレーションで楽しい曲だった。
メインの展覧会の絵もやりたい放題。やってみたいと思ったことを全部乗せにしてみた演奏だが、元々が濃い曲なのに更に表情付けをこれでもかとする。ただしメリハリが効いているのでもたれないところは立派だ。この曲はラヴェルの編曲が素晴らしくて、指揮者があまり余計なことをするとやり過ぎ感が出てしまうが、バッティストーニは全く遠慮しない。表情、テンポ、様々な外連を遠慮なく盛り込んで行くのに、東フィルも面白がって付いて行く。つくづく若いっていいなあと思わせる演奏だ。若い内は色々やってみて、段々取捨選択していく内にバッティストーニのスタイルが出来ていくのだと思う。相変わらずやりたいことに棒が付いて行かない指揮ぶりだが、東フィルは相性がいいようで、バッティストーニのやりたいことを表現していたと思う。
バッティストーニは今年は東フィルの第九を振るようだが、今までの印象ではベートーヴェンとの相性は良いと思えない。第九はちょっと興味本位で聴きに行くにはチケットが高いのが難点だが、一般発売になって安い席が残っているようなら聴きに行ってみたいと思う。
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