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2016年9月 9日 (金)

ヤルヴィの千人

N響90周年記念特別演奏会

マーラー/交響曲第八番変ホ長調

独唱/エリン・ウォール、アンジェラ・ミード、クラウディア・ボイル(ソプラノ)、
   カタリーナ・ダライマン、アンネリー・ペーボ(アルト)
   ミチャエル・シャーデ(テノール)、ミチャエル・ナジ(バリトン)、
   アイン・アンガー(バス)
合唱/新国立劇場合唱団(合唱指揮/菅原恭平)、栗友会合唱団(合唱指揮/栗山文昭)
児童合唱/NHK東京児童合唱団(合唱指揮/金田典子)
管絃楽/NHK交響楽団
指揮/パーヴォ・ヤルヴィ

二〇一六年九月八日(木)NHKホール

 N響の九〇周年記念公演。N響にとってマーラーの交響曲第八番(以下「千人」)を取り上げるのは一九四九年(山田和男/日本初演)、一九九二年(若杉弘)、二〇一一年(シャルル・デュトワ)に続く四回目。

 ヤルヴィの指揮は放送で何度か聴いているので、最初から全く期待はしていない。演奏が始まると予想通り。サラサラと前に前に進んでいく今時の演奏だ。千人も簡単になったもので、そろそろ名曲コンサートの演目になるのかも知れない。思い入れが一つもない音楽が流れていき、心に何も残らない。フレーズの移り目でルバートして撓めるなんざ、一九世紀生まれのやることなのかも知れない。
 N響は記念特別演奏会とは思えない無難で雑な演奏。合唱は混声、児童合唱ともレヴェルが高く安心して聴いていられた。独唱者はバランスは悪くなかったが、テノールと第二ソプラノのレヴェルが低かった。何とも取り立てて書くことのない千人だったのだが、特別だったのが第三ソプラノ(栄光の聖母)を唱ったクラウディア・ボイル。今まで聴いたどの栄光の聖母より素晴らしく、Wenn er dich の高い変二音をヴィブラート無しのピアニシモで唱い出したときにはゾクゾクして鳥肌が立った。この栄光の聖母を聴けただけで十分に収穫のある演奏会だったと言えるほど、素晴らしい出来だったと思う。
 後は備忘録として。絃は一八型、管楽器は指定通り、マンドリンは一人、ハープは四台。独唱者は舞台前面に下手から第二アルト、第一アルト、第二ソプラノ、第一ソプラノ、指揮者を挟んでテノール、バリトン、バス。第三ソプラノはオルガンバルコニー。バンダは二階席後方(見えなかったので多分)。ティンパニは二奏者(四台二組)でzu2は両手打ちはなし。

 会場で配られたプログラム冊子も、曲目、出演者、出演者プロフィール、曲目解説、歌詞対訳、賛助会員名簿だけが通り一遍に掲載されているだけで、九〇周年についての記事、団員名簿、他公演の案内などは一行も触れていないという何とも投げやりな代物。普通理事長の挨拶文や、九〇年の略年表くらいは載せるだろう。そんなにやりたくないのなら、周年事業は百周年まで待てばいいのに。演奏もプログラム冊子も気負いゼロ。祝祭的な雰囲気の全く感じられない九〇周年記念演奏会だった。

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