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2017年5月15日 (月)

山田和樹マーラー・ツィクルス《第3期》

山田和樹マーラー・ツィクルス《第3期》

主催/Bunkamuraオーチャードホール
管絃楽/日本フィルハーモニー交響楽団
指揮/山田和樹

【第七回】
武満徹/夢の時
マーラー/交響曲第七番ホ短調「夜の歌」

二〇一七年五月十四日(土)オーチャードホール

 山田和樹と日本フィルによるマーラーツィクルスも早いもので三年目。昨年の第2期は回毎に調子が上がっていったが、残り三曲をどう料理するか楽しみである。

 第七番「夜の歌」は、マーラー好きの私でも、ツィクルス以外では滅多に聴かない曲だ。今まで聴いた中で名演だったインバルやベルティーニも、単純に大名演イコール大感動とはならず、演奏が良い分曲の駄目さが引き立ってしまう。不出来、もとい難解な曲なので、バーンスタインのような完全憑依型で行かないと誤魔化しが効かないと思う。
 第一楽章は冒頭からテノールホルンとホルンがヨレるが、これはよくあること。山田は期待通り濃厚な表情付けで音楽を進めていく。テンポも自在でいい感じだ。中間の三つの楽章もたっぷり唄わせる音楽作りで好ましい。大騒ぎの第五楽章はとにかく前へ前へ進める演奏。オーケストラも良く鳴って迫力満点。この曲、特に終楽章はマーラーの分裂気質の極みで、冷静に聴くと何が言いたいのかさっぱり解らない。だからこの曲は聴き手に考える隙を与えてはならず、演奏者は「これでもか!」を連発しなければならないと思う。日本フィルも随分世代交代が進んで若い楽員が多くなったので、山田が次々繰り出す「これでもか!」にしっかり応えていた。期待通り、いや期待以上の名演で、この調子で残りの二曲も突っ走ってもらいたいものだ。ただ、八番は勢いで何とかなるが、九番はそうは行かないだろう。どうなるか楽しみである。

 舞台上にはいつも通り録音用のマイクが並んでいた。今回は第一楽章の頭だけ差し替えればCD化出来ると思う。本ツィクルスでは第二番、第六番がCD化済みで、近く第四番もCD化されるようだ。私の印象では四番はCD化するような演奏ではなかったと思うのだが。個人的にはCD化するなら良いも悪いもひっくるめて編集無しで全曲CD化してくれれば、記録として価値があると思うのだが。

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