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2018年10月15日 (月)

名古屋フィルハーモニー交響楽団第四六一回定期演奏会

名古屋フィルハーモニー交響楽団第四六一回定期演奏会

マーラー/交響曲第八番変ホ長調

独唱/並河寿美、大隅智佳子、三宅理恵(Sop.)、加納悦子、福原寿美枝(Alt.)、
   望月哲也(Ten.)、宮本益光(Bar.)、久保和範(Bas.)
合唱一/グリーン・エコー
合唱二/名古屋市民コーラス、名古屋混声合唱団、一宮第九をうたう会、
    混声合唱団名古屋シティーハーモニー、クール・ジョワイエ
合唱指揮/河辺康宏、荻野砂和子、神田豊壽
児童合唱/名古屋少年少女合唱団(合唱指揮:水谷俊二、谷鈴代)
管絃楽/名古屋フィルハーモニー交響楽団、、中部フィルハーモニー交響楽団
指揮/小泉和裕

二〇一八年一〇月一二日(金)、一三日(土)名古屋市民会館大ホール

 基本的な曲作りは先日の九響と変わらないが、充実感は大きく違った。九響を聴いた時も非常な感動と満足感を感じられたが、名フィルはそれを上回る。間違いなく今年のマラ八ラッシュの中で白眉の演奏と断言出来るだろう。私が聴きたいのはこういうマーラーである。とは言え、何か特別な外連があるわけではなく、旋律をたっぷり歌わせ、呼吸を大きく取り、時にテンポにメリハリを付けるという、ごく普通の事をやっているだけなのだ。フルトヴェングラーの逸話を持ち出すまでもなく、いい指揮者というのは立っているだけでいい演奏になるのだと思う。先日の九響と今回の名フィルを聴いて、今まで堅実な中堅指揮者という認識だった小泉和裕が、いつの間にか巨匠の域に達している事を感じた。
 小泉が指揮する音楽を聴いていると、自然体で小賢しい所は無い。テンポの動かし方や表情の付け方も極端ではないのだが、何とも恰幅が良く安心して聴いていられる。マラ八では、昨年聴いた広上淳一も素晴らしかったが、広上にはまだ計算ずくな所があり、思わぬディフォルメに感心しつつも、ちょっと音楽の流れが止まってしまう感じがあった。その点で、小泉は大向こうを唸らせようという意識は感じられず、自由に思ったとおりの音楽を作っていく感じだ。あまり練習できっちり作り込んだ感じではなく、大きく方針を決めて、後は奏者の自発性に任せている印象なのだ。なので、音楽に身を委ねていて誠に心地よく、いつまでも音楽が終わらないでほしいという気持ちになる。とにかく素晴らしいマラ八で、今まで聴いたマラ八の中でもベストを争う出来であったと思う。
 備忘録として、絃は二〇型、テューバ二、ハープ二、マンドリン一、ティンパニ三台×二人で両手打ちは無し。鐘はチューブラーベル使用。第一部のシンバルは一回目が吊りシンバル×三、二回目が合わせシンバル×三。第二部の冒頭、シンバルは摩擦奏法なし。独唱はオケと合唱の間。合唱の並びは奥が男声、手前中央が児童で両側が女声。金管バンダは上手側の花道に配置、栄光の聖母は下手の側壁にある照明用?の窓から唱っていた。
 独唱は第三ソプラノ、第二アルト、バリトン以外は九響と同じ。九響同様第二ソプラノが大変素晴らしく、特に第二部の罪を悔いる女の最後の所は鳥肌が立った。九響ではいなかった第三ソプラノ、第二アルト、バリトンは好演、一方でテノールは頑張っていたが声質が悪く、バスは音量が足りなかった。第一ソプラノは、最後の神秘の合唱でハイCの後の二つの音を唱っていなかった(又は聞こえなかった)。九響ではハイCを絶叫した後、息継ぎをして歌っていたと記憶しているが、二日ともそうだったので、ここは指揮者の解釈(妥協?)なのかもしれない。
 合唱は地元の合唱団で、第一コーラスと児童合唱は単一の団体、第二コーラスは五団体の合同。特別上手というわけではないが、よく纏まって安定感があった。小泉は合唱団を第一部では立たせたまま、第二部でも立ったり座ったりを最小限にしていたが、これは素晴らしいと思う。全曲立っていろとまでは言わないが、某アマチュア合唱団みたいにやたら立ったり座ったりするだけでなく、第二部の最初は座って唱うみたいなやり方は気が散っていけない。また、初日は合唱団員が二人倒れてハラハラしたが、二日目は倒れる人はいなかったようだ。今回の合唱を聴いて、先日の読響のときに音大生合唱団に感じた纏まりの無さは、声の若さ故ではないかと改めて感じた。

 今回は愛知芸術劇場が改修中の為、古い名古屋市民会館での公演だったが、舞台が広く取れるので結果的には良かったのかもしれない。オルガンが電子オルガンだったのは残念だが、音響的にも過剰な残響はかえって邪魔な曲なので、各パートが見通良く聞こえたと思う。
 今回は金土定期の二日とも聴いたが、三日目があったらもう一度聴きたい。それぐらい素晴らしいマラ八だった。名古屋まで遠征して本当に良かった。

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